The Japanese Journal of Antibiotics
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進行癌に併発した重症感染症に対する免疫グロブリン製剤SM-4300の臨床効果
谷村 弘稲本 俊
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1985 年 38 巻 9 号 p. 2630-2637

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抄録

近年, 多数の著しく抗菌力の優れた抗生物質の開発がなされ, 外科領域における重症感染症の治療に際しても, その効果を発揮し, 又, 制癌剤の進歩も造血臓器を主とする悪性腫瘍において, 優れた治療効果をもたらし, その延命効果の更新が次々と得られている。しかし, 悪性腫瘍や膠原病はそれ自体患者の免疫能の低下をもたらすと共に, これらの治療に用いられる制癌剤や副腎皮質ホルモンはいずれも免疫抑制作用を有しているため, その使用期間中に併発してくる感染症に対する治療法として, 抗生物質の投与だけでは困難なことが多い。そこで, このような感染症を併発した患者に対して抗生物質と併用して免疫グロブリン製剤を投与することは患者の免疫力を補助する意味で大いに効果が期待できる。
今回, 進行癌に併発した重症感染症例に対して抗生物質に併用して, 乾燥イオン交換樹脂処理ヒト免疫グロブリン製剤SM-4300を使用し, 臨床効果, 副作用について検討したので報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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