The Japanese Journal of Antibiotics
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Mezlocillinの胆汁中移行に関する臨床的検討
特に肝機能障害症例において
前場 隆志橋本 哲明武田 智博白石 恭史大池 宏子若林 久男大森 吾朗因藤 春秋国方 永治林 政清間嶋 是武数野 博石合 省三田中 聰
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1986 年 39 巻 1 号 p. 116-120

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抄録

胆道感染における抗生物質の効果は, 血中濃度よりむしろ胆汁中濃度に依存すると考えられている1)。しかし, 閉塞性黄疸のように胆汁流出障害の存在する胆道感染例では, 抗生物質の胆汁中移行は極めて不良であり2, 3), 初期治療にあたつては, 少しでも胆汁移行性の良好な抗生物質の選択が肝要である。
抗生物質の胆汁中移行に関する現在までの報告は, 肝機能障害のないものについての評価が大部分であるが, 実際の臨床面においては, 胆汁うつ滞による肝機能障害を合併した胆道感染例への有効性が問題となる場合が多いことを考慮し, われわれは, 特に閉塞性黄疸を伴う肝機能障害例を対象として, Mezlocillin (MZPC, Baypen®) の胆汁中移行性について検討した。
MZPCは, Ampicillin (ABPC), Carbenicillin (CBPC) に比べてグラム陰性桿菌に対する抗菌力が強く, β-Lactamaseに対し安定であり, 胆汁移行性も良好とされている広域Penicillin剤の一つである2)。

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