The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Clindamycin phosphateのヒト骨髄血及び骨髄組織への移行に関する検討
中村 信義緒方 晴男福島 美歳梅田 継雄出口 浩一深山 成美西村 由紀子
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 39 巻 1 号 p. 133-140

詳細
抄録

整形外科領域においては, 近年人工関節, 内固定材料などの種々な, 人工物を挿入する術式が広く行われるようになり, それに伴う感染の増加が懸念される。そして偶発的とはいえ感染が併発すれば, 人工物の抜去を余儀なくされるだけでなく, 治癒転機への大きな障害となり得る1)。このため, これらの手術に際しては適切な消毒操作, 無菌室の利用などの他, 抗生物質を予防的に用いることが極めて有用とされている2, 3)。
抗生物質は全身的な投与によつて血液循環を介し, 各臓器へ移行するため感染予防としても極めて有用であるが, 骨組織に関しては骨髄血への移行が重要な指標となる2)。一方, 整形外科領域における感染症の一般的な起炎菌はStaphylococcus aureusが主なものであるが4), 深部膿瘍の場合は嫌気性菌が起炎菌の場合もあり得る5)。
そこで, 私たちは人工関節置換術を含む手術例においてClindamycin phosphate (Dalacin® P注, 以下CLDMと略す) を術前に投与し, 骨髄血及び骨髄組織へのCLDMの移行濃度を検討したので以下報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top