The Japanese Journal of Antibiotics
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[最新の抗菌薬XVI] Ofloxacin
勝 正孝斎藤 篤
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1986 年 39 巻 4 号 p. 889-904

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抄録

Oftoxacin (OFLX, DL-8280,(±)-9-Fluoro-2, 3-dihydro-3-methyl-10-(4-methyl-1-piperazinyl)-7-oxo-7H-pyri-do [1, 2, 3-de][1, 4] benzoxazine-6-carboxylicacid) は, 第一製薬株式会社により開発されたQuinoline母核を有するPyridonecarboxylic acid (PCA) 系の経口用抗菌剤である (Fig. 1)。
PCA系抗菌剤は1962年, Naphthyridine母核を有するNalidixic acid (NA) が発表されて以来, その改良を目的として多数の関連化合物が合成されてきた。わが国では, NA以後, 相次いでPyridopyrimidine母核のPiromidic acid (PA) 及びPipemidic acid (PPA), 更に, Cinnoline母核のCinoxacin (CINX) が開発され市販されているが, ここまでの薬剤はいずれもグラム陰性菌にだけ有効であり, 適応症も尿路感染症あるいは胆道感染症, 腸管感染症などに限られていた。その後の研究により開発されたQuinoline母核を有するNorfloxacin (NFLX) は, Quinolineの6位フッ素と7位Piperazineの組合せにより抗菌活性が飛躍的に増強され, 抗菌スペクトルもグラム陽性菌にまで拡大された薬剤で, 上気道感染症, 皮膚感染症にも適応が認められすでに市販されているが, 吸収, 分布, 代謝の面で改良の余地が残されていた。
OFLXは更に改良が加えられたもので, Quinolineの1位と8位でOxazine閉環することにより水への溶解性が増し, 生体内で代謝を受け難いという特性を保持し, 且つ, 7位PiperazineにMethyl基を導入して適度の脂溶性を付与することにより, 良好な腸管吸収性と組織移行性, 更に, 強力な抗菌活性を併せ持つに至つた薬剤である1)。本剤は, これらの基礎的特徴を反映した優れた臨床成績に基づき, 下気道感染症をも含む極めて広範な適応症が認められている。

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