1986 年 39 巻 4 号 p. 909-957
Cefminox (CMNX) は明治製菓株式会社中央研究所で新しく開発されたCephamycin系の注射用抗生物質である1)。その化学名はSodium (6R, 7S)-7-[(S)-2-(2-amino-2-carboxyethylthio) acetamido]-7-methoxy-3-[[(1-methyl-1H-tetrazo1-5-yl) thio] methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[ 4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylate heptahydrateで, Fig. 1に示した構造式を有し, 各種の細菌が産生するβ-Lactamaseに安定であり, 抗菌域は好気性グラム陽性菌, グラム陰性菌及び嫌気性菌と広く, 感染治療実験においてMICから推定される以上の効果が得られている2~5)。本剤はすでに1983年の第31回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムで基礎的検討及び成人での臨床評価が論じられている6)が, 本剤のヒト糞便内細菌叢への影響を検索した成績はない。
そこで私たちは健康成人にCMNXを投与し糞便内細菌叢への影響をみると共に本剤の糞便中濃度を測定, 糞便から分離した種々の細菌の本剤とCefmetazole (CMZ), Cefbtaxime (CTX) に対する感受性を比較すると共に副作用を検討したので, その成績を報告する。