The Japanese Journal of Antibiotics
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Astromicinの定速度静脈内持続注入時の薬動力学的研究
山作 房之輔小林 智井上 顕信
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1986 年 39 巻 6 号 p. 1473-1479

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抄録

平均体重62kgの4名の健康成人被検者にAstromicin (ASTM) 200mg (I群) と400mg (II群) を1時間で, 200mgを2時間(III群)で持続注入器を用い, 定速度で静脈内に注入した際の血清中, 尿中濃度をHPLCにより測定した. 注入終了時の平均最高血清中濃度はI群13.32μg/ml, II群22.12μg/ml, III群9.89μg/mlで用量依存性を認め, 8時間後には各群とも1μg/ml以下となつた. 尿中回収率は8時間後までに90%, 24時間後までに95%であつた. Two-compartment open modelによるT1/2 (β) は1.64~1.72時間, AUCはI, III群は33.1μg・hr/mlと31.6μg・hr/ml, II群は57.6μg・hr/mlで用量依存性であつた.
Amikacin (AMK) の使用時に最高血清中濃度が35μg/mlを越えず, 次回注射前の最低濃度が5μg/ml以下であることが勧められているが, ASTMの毒性はAMKより低く, 400mgを1時間で静脈内に注入したII群の最高血清中濃度, 8時間値ともそれぞれの上限までには充分の余裕があつて安全性には問題はなく, 文献に示されたS. aureusや各種グラム陰性桿菌に対するMIC分布に対比すると200mg, 及び400mg1日2回のASTM点滴静注療法の有効性が示唆された.

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