The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域におけるImipenem/Cilastatin sodium投与におけるImipenemの組織内移行について
田口 圭樹斉藤 良治関 晴夫村田 誠設楽 芳宏佐山 猛佐藤 康美磯部 京悦
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1986 年 39 巻 6 号 p. 1514-1518

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抄録

Imipenem (MK-0787) は米国メルク社研究所において開発された新規のカルバペネム系抗生物質であり, Streptomyces cattleyaから得られたThienamycinのN-Formimidoyl誘導体である (Fig. 1)。本剤はPseudomonas aeruginosaを含む広範囲の菌種に対し強い抗菌力を示し, β-Lactamaseに対し極めて安定で且つβ-Lactamase阻害活性を有する。しかしながら, 本剤は腎尿細管上皮に存在するRonal dipeptidaseによる代謝のため尿中回収率や, 更には動物実験における腎障害に問題があつた。そこで選択的Renal dipeptidase阻害剤であるCilastatin sodium (MK-0791)(Fig. 2) を開発,MK-0787と併用投与することによりこの腎代謝の問題改善に成功した1)。
今回我々はMK-0787/MK-0791の産婦人科領域感染症における有効性を裏付ける目的で, 点滴静注後の肘静脈血, 子宮動脈血及び各性器内組織中へのMK-0787の移行を検討, 更に広汎性子宮全摘出術後の死腔液中への移行をも検討し, 以下の結果を得たので報告する。

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