The Japanese Journal of Antibiotics
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Imipenem/Cilastatin sodium配合剤の小児科領域での使用経験
佐藤 謙二渡辺 章
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1986 年 39 巻 7 号 p. 1701-1707

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抄録

ImiPenem (MK-0787) は米国メルク社で開発された新しいカルパペネム系の注射用抗生物質であり, 従来のペニシリン系抗生物質及びセファロスポリン系抗生物質とは基本的に化学構造を異にする。Pseudomonas aeruginosaを含む広範囲の菌種に対し, 強い抗菌力を示し, 且つそれ自身強いβ-Lactamase阻害活性を有する優れた抗生物質である。しかしながら,腎尿細管上皮の管腔表面に存在するRenal dipeptidaseによつて代謝を受け, 必ずしも良好な尿中回収率が得られないことが判明した。又, 動物実験によりCephaloridineより弱いが, 腎障害を起すことも確認された。そこで, MK-0787の腎内代謝に関与するRenal dipeptidaseに対して選択的阻害作用を有するCilastatin sodium (MK-0791) を開発し, 本剤を併用投与することにより, MK-0787の尿中回収率を改善することに成功した。同時にMK-0791は動物実験においてMK-0787の腎毒性をも軽減することが認められた1)。
今回, 著者らはMK-0787/MK-0791配合剤を小児科領域の各種感染症に使用しその臨床効果と安全性について検討したので報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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