The Japanese Journal of Antibiotics
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カルバペネム系新抗生剤Imipenem/Cilastatin sodiumの小児科領域における研究
中澤 進佐藤 肇成田 章松本 貴美子鈴木 博之中澤 進一近岡 秀次郎小井土 玲子神垣 昌人中田 義雄岡 秀新納 憲司
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1986 年 39 巻 7 号 p. 1745-1764

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抄録

Imipenem (MK-0787) は米国メルク社研究所で開発されたカルバペネム系新抗生剤であり, グラム陽性及び陰性の両菌種に対し優れた抗菌性を有し, グラム陰性菌に対する抗菌性はいわゆる第3世代Cephem系製剤と同程度であるが, Pseudomonas aeruginosaに対してはより活性が高く, 一方Enterococcus facalisなどのグラム陽性菌に対する抗菌性は第3世代Cephem系製剤に比較して遙かに強力であり, Bacteroides fragilisを含む各種嫌気性菌についても活性を有し, 又, 各種細菌の産生するβ-ラクタマーゼに対し極めて安定であると同時に, β-ラクタマーゼ阻害活性を有する点を特徴としている。
本剤は腎尿細管上皮のRenal dipeptidaseで分解される関係上, 臨床的にはRenal dipeptidaseを選択的可逆的に阻害するCilastatin sodium (MK-0791) との1: 1の配合剤が静注用製剤として使用されるようになつた。本配合剤を使用しての成人各科領域における研究はすでに広範に行われ, その成果は第32回日本化学療法学会西日本支部総会 (昭和59年12月14日) で報告され, 解析対象症例数1, 296例に対する有効率は75%であつた1)。今回本剤の小児科領域における検討を行うことができたので, 以下, 今日までの概況について報告する。

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