The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるImipenem/Cilastatin sodiumの基礎的, 臨床的検討
中島 崇博中島 佐智恵早川 文雄宮地 幸紀袴田 享久野 邦義
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1986 年 39 巻 7 号 p. 1828-1846

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抄録

Imipenem (MK-0787) は, 1976年米国メルク社により, Streptomyces cattleyaから得られたThienamycinのN-Formimidoyl誘導体である1~3)。MK-0787はFig. 1の化学構造を持ち, 各種細菌産生のβ-ラクタマーゼ阻害活性を有し, グラム陽性菌, グラム陰性菌の広範囲の菌種に対し強い抗菌力を示し4), 特にPseudomonas aeruginosaに対しては, Cefsulodin及びCefoperazone (CPZ) より強い抗菌力を示す5) と共にGentamicin耐性P. aeruginosaに対しても強い抗菌力を示す6)。又, 従来セフェム系抗生剤が無効であつたEnterococcus faecalisに対し強い抗菌力を示す。一方, 各種の嫌気性菌に対してもClindamycinより強い抗菌力を示す7)。しかし, 腎尿細管上皮のRenal dipeptidase (Dehydropeptidase-I) により, 水解不活化されるため, この酵素に対して選択的阻害作用を有するCilastatin sodium (MK-0791)(Fig. 2) が開発された3)。MK-0787と1: 1に配合した時, MK-0787の尿中回収率が最高に達し, 且つ動物実験においてみられたCephaloridineより弱い腎毒性も消失することが認められた8)。なおMK-0791には抗菌活性はない。
今回, われわれはMK-0787/MK-0791を小児科領域の細菌感染症に使用する機会を得たので, 基礎的及び臨床での有効性, 安全性について検討を行ったので報告する。

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