1987 年 40 巻 10 号 p. 1745-1751
産婦人科における感染症患者にCefuzonam (CZON) を投与して子宮及び子宮付属器官組織への移行性と臨床効果を検討し, 下記の結果を得た。
1.CZONの動・静脈血中濃度及び卵管, 卵巣, 子宮内膜, 子宮体部筋層, 子宮頸部, 子宮腔部の組織内濃度を測定した結果, 本剤はこれらの各器官へ高い移行性を示した。
2.臨床的検討では, 子宮瘤膿腫, 急性外陰炎, 骨盤腹膜炎, 腎孟腎炎, 産褥子宮内感染症の計5例に投与した。
成績は著効2例, 有効3例であり, 有効率は100%であつた。
全例において副作用はみられなかつたが1例に一過性のGOT, GPT及びγ-GTPの上昇がみられた。
以上の結果から, CZONは産婦人科領域における各種感染症に対し有用な薬剤であると考えられる。