The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるFlomoxefの基礎的, 臨床的検討
岩井 直一宮津 光伸中村 はるひ片山 道弘笠井 啓子種田 陽一
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1987 年 40 巻 8 号 p. 1377-1392

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抄録

新しいCephem系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) についての小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行つた。
1.小児5例 (5~8歳) にFMOX20mg/kgをOneshot静注した際の平均血中濃度は静注後1/4時間39.7μg/ml, 1/2時間24.1μg/ml, 1時間12.2μg/ml, 2時間4.7μg/ml, 4時間1.1μg/ml, 6時間0.3μg/mlであり, 半減期は平均0.65時間であつた。又, 尿中濃度の平均は静注後0~2時間3,558μg/ml, 2~4時間568μg/ml, 4~6時間117μg/mlであり, 6時間までの尿中回収率は平均72.8%であつた。
2.小児期感染症32例 (5カ月~9歳) にFMOXを投与した際の臨床効果は肺炎29例, 急性化膿性扁桃腺炎1例, 急性化膿性リンパ節炎1例, 蜂窩織炎1例に対し著効24例, 有効8例であり, 全例において有効以上の成績が得られた。又, これらの症例の原因菌と推定されたStaphylococcus aureus 1株, Streptococcus pneumoniae 1株, Haemnophilus influenzae 8株, Haemophilus parain fluenzae 1株に対する細菌学的効果はH.infuenzae1株が減少であつた以外は消失であつた。なお, 副作用は全く認められなかつた。臨床検査値異常としては, GOTの上昇が1例, 血小板増多が2例, 好酸球増多が1例に認められたが, いずれも軽度であり, しかも再検査により正常化が確認できた。
以上の成績から, FMOXは小児期においても高い有用性と安全性を持つ薬剤であると考えられた。

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