1987 年 40 巻 8 号 p. 1502-1514
新しいOxacephem系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) について基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1.吸収・排泄は本剤を10mg/kg及び20mg/kgの30分間点滴静注で検討した。血中濃度のピークは両者共点滴静注終了直後にあり, それぞれ平均30.3±4.5μg/ml, 54.3±9.7μg/mlであつた。半減期もそれぞれ0.734±0.196時間, 0.628±0.185時間であつた。尿中回収率は10mg/kgでは点滴静注終了後2時間までに平均60.3%, 6時間までに72.3%。20mg/kgでは同様に2時間までに59.7%, 6時間までに69.3%であつた。
2.臨床効果では呼吸器感染症22例, 尿路感染症2例, リンパ節炎3例, 蜂窩織炎2例, 急性骨髄炎1例の計30例について検討し, 有効率は92.0%であつた。細菌学的効果では菌消失率は80.0%であつた。副作用として異常な臨床症状, 所見は認められなかつたが, 臨床検査所見では好酸球増多1例, APTTの延長1例, 血小板数の増多とGOTの軽度上昇を伴つた1例を認めた。