1988 年 41 巻 1 号 p. 10-17
セフロキシム (CXM) を当科の24例に手術前に投与し, 投与後30分, 1時間後に血清中及び皮膚組織内のCXM濃度を測定し, 本剤の皮膚組織移行性について検討した。
その結果, 投与1時間後で72.5~79.2%の高い組織移行率を示すことが実証された。当科の入院患者から検出された菌種についてみると, グラム陽性球菌が最も多く, 次いでグラム陰性桿菌が多く, 両者で全体のほぼ80%を占めている。従つて大多数のグラム陽性球菌, 腸内細菌, グラム陰性桿菌に対して広いスベクトルを有し, 組織移行性が高く, β-ラクタマーゼに抵抗性の高いCXMは形成外科領域の感染症の予防的投与に有効な抗生剤と考えられる。