1988 年 41 巻 11 号 p. 1635-1649
重症呼吸器感染症に対して, しばしばCephem系抗生物質に併用されるAminoglycoside系抗生物質の人における肺組織内移行についての報告は未だみられない。 そこで我々はAstromicin (ASTM) の術直前投与により肺組織内移行並びにその点滴静注法の安全性を検討し, 以下の結論を得た。
1.ASTM 200mg術直前1時間点滴静注時の血清中濃度のピーク値は投与開始1時間後に平均11.2μg/mlであり, β相の半減期は2.90時間であった。
2.ASTM 200mg術直前1時間点滴静注時の肺組織内移行は, 正常肺組織で投与開始2時間に最高となり平均7.7μg/gで, その後緩やかに漸減し, 血清ピーク値に対する比率は27.7~68.8%であった。
3.ASTM 200mg術直前1時間点滴静注時の細気管支組織内移行は, 血清ピーク値に対する比率は33.0~72.3%であり, 良好であった。
4.ASTM 200mg1時間点滴静注法はASTM 200mg筋注法と共に, 安全に臨床に使い得る方法であることが示された。