1988 年 41 巻 11 号 p. 1731-1741
我々は今回, Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の周産期感染症における基礎的・臨床的検討を行った。
1. IPM/CSは臍帯血及び羊水へ良好な移行を示した。一方, 母乳への移行は他のβ-ラクタム系抗生物質と同様, わずかであった。
2. 周産期感染症の81例に使用した結果16例に著効, 62例に有効で, 有効率は96.3%であつた。又, 予防投与の6症例に対しても有効であつた。
3. 分離された82株中69株が消失, 8株が減少した。特に, Enterococcus faecalis13株では12株が消失していた。
4. IPM/CSを投与した109例中, 副作用として1例に嘔吐が認められた。臨床検査値異常はどの症例にも認められなかった。
以上から, IPM/CSは周産期領域における有効且つ安全な抗生物質と考えられ, その投与量については通常0.5g/0.5g1日2回で十分と思われるが, 重症例には1g/1g1日2回も考慮すべきであろう。