The Japanese Journal of Antibiotics
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Cephamycin系新抗生剤, 特にCefotetan及びCefbuperazoneの肺組織内移行と術後感染予防に関する臨床的検討
今泉 宗久新美 隆男内田 達男梶田 正文高橋 隆内田 安司浅岡 峰雄天野 謙小鹿 猛郎阿部 稔雄
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1988 年 41 巻 4 号 p. 437-459

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抄録

1. Cefotetan,(CTT) 1g, 30分間点滴静注による血清中濃度は投与開始30分値が平均99.4μg/mlであり, その後漸減し, β相における半減期は2.45時間であった。CTT 1g, 1時間点滴静注による血清中濃度は投与開始1時間後平均104.1μg/mlと最高値を示し, 2, 4, 6時間値がそれぞれ平均で63.4, 34.3, 27.0μg/mlであり, β相における半減期は2.35時間であつた。
2. CTTの正常肺組織内濃度は30分点滴静注投与ではTmax1.82時間で, Cmax19.8μg/g であり, 1時間点滴静注投与では投与開始2時間値が平均39.7μg/gと最高値を示し, 3, 4, 6 時間値はそれぞれ32.2, 22.2, 8.76μg/gであり, Tmax1.82時間で, Cmax30.5μg/gであつた。
3. Cefbuperazone (CBPZ) 1g, 1時間点滴静注による血清中濃度は投与開始後1時間値で平均83.3μg/mlと最高値を示し, 2, 4, 6時間値はそれぞれ40.4, 19.8, 9.62μg/mlでありβ相の半減期は2.03時間であった。
4. CBPZの正常肺組織内濃度は投与開始1時間値が平均31.6μg/gと最高値を示し, 3, 4, 8時間値がそれぞれ16.2, 11.0, 4.56μg/gであり, Tmax1.67時間で, Cmax21.9μg/gであつた。
5. CBPZの細気管支組織内濃度は投与開始後3, 5時間値が平均7.87, 4.85μg/gであり, 血清ピ一ク値に対する比率は9.4, 5.8%であつた。
6. CBPZの肺門リンパ節内濃度は投与開始後2, 3, 3.5, 4, 5時間値が平均7.49, 5.96, 10.2, 7.63, 3.52μg/gであり, Tmax2.23時間で, Cmax7.93μg/gであった。
7. CTT及びCBPZはCBPZ症例で原因不明の食道瘻から膿胸を発生した1例を除けば, 術後感染症の発生はなく, 又, 重篤な副作用の出現もなく, 呼吸器疾患の術後感染予防に両者ともに有用であった。

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