The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefbuperazoneの乳癌術後, 甲状腺癌術後滲出液中移行に関する検討
佐々木 文章高田 尚幸秦 温信及能 健一内野 純一
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1988 年 41 巻 4 号 p. 460-466

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抄録

Cefbuperazone (CBPZ) を乳癌, 甲状腺癌患者の術後に投与し, 創部滲出液中濃度と術後感染予防効果について検討した。
対象症例は乳癌9例, 甲状腺癌10例である。CBPZ2gを生理食塩水100mlに溶解し, 手術後1時間以内に30分かけて点滴静注した。CBPZ投与前及び投与後6時間にわたり滲出液, 静脈血を経時的に採血し, CBPZ濃度を測定した。本剤を1回29, 1日2回術後2~6日間にわたつて点滴静注した。
乳癌患者の滲出液中の濃度のピークは投与直後から3時間後に分布し, 平均66.3±23.9μg/ml であった。投与6時間後に平均33.3±11.2μg/mlであり, 全例で血清中濃度を上回る高値を示した。甲状腺癌術後の滲出液中濃度は症例間で差が著しかったが, 乳癌患者とほぼ同様の結果であった。術後創感染例もなく, 又, 本剤によると思われる自他覚的副作用, 臨床検査値具常も認められなかつたことから, CBPZは乳癌, 甲状腺癌の滲出液中に十分濃度の移行がみられ, 感染予防において有用性のある薬剤と結論した。

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