The Japanese Journal of Antibiotics
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臨床材料から分離された主な菌種の抗菌薬感受性
第4報 黄色ブドウ球菌について
猪狩 淳設楽 正登設楽 政次吉本 加代子林 康之小酒井 望
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1988 年 41 巻 5 号 p. 485-493

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抄録

全国各地の病院から臨床分離株を収集して1980年以後抗菌薬感受性の年次推移の調査を実施している。今回は1980年から1985年までの6年間に, 黄色ブドウ球菌のAmpicillin (ABPC), Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ), Gentamicin (GM) に対する感受性推移を検討した。
被験菌株は総計12, 116株。MIC測定は日本化学療法学会標準法 (再改訂法) に準じて実施した。
一律にMIC25μg/ml以上を耐性として結果をまとめると, 以下のようになる。
1. 1985年に収集した2,891株のうち, ABPC及びGM耐性株は約1/4を占めたが, CEZは8%, CMZは3%であつた。
2. 耐性株の年次推移はABPC, CEZ, CMZでは1984年まで漸増し, 1985年には減少あるいは減少傾向が認められた。GMではなお増加を持続した。
3. 臨床材料別の耐性株の分離頻度は薬剤によつて差があるが, ABPC, GMでは膿, 胆汁, 尿で高く, CEZでは胆汁, 膿, 喀痰, 尿で高かつた。但し, CMZの場合は胆汁>喀痰>尿>膿の順であつた。
4. 入院患者由来株は外来患者よりも, 耐性株の頻度が高かつた。

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