The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるGentamicin点滴静注の基礎的・臨床的検討
Gentamicin小児科領域研究会
市橋 保雄堀 誠立沢 宰岡部 信彦若杉 宏明吉岡 一藤田 晃三坂田 宏石田 千佳子梯 仁志森 善樹丸山 静男坂田 葉子滝本 昌俊穴倉 廸彌小佐野 満老川 忠雄山下 直哉市橋 治雄松田 博雄廣澤 浩高橋 慎太郎石川 尉子中澤 進佐藤 肇成田 章松本 貴美子鈴木 博之中澤 進一近岡 秀次郎小井土 玲子神垣 昌人中田 義男新納 憲司南谷 幹夫八森 啓岩田 敏草野 正一佐藤 吉壮石川 和夫中沢 真平木下 明俊武内 可尚渡辺 淳秋田 博伸杉田 守正加藤 精彦東田 耕輔豊永 義清池田 稲穂滝井 泰弘岩井 直一中村 はるひ西野 和良舘 和宏山岸 稔郡 建男梶原 康巨出口 浩一
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1988 年 41 巻 5 号 p. 538-548

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抄録

Gentamicin (GM) は小児科領域の感染症の治療において重要な薬剤の一つである。しかし本剤は筋肉内注射だけが認可されているため, 四頭筋拘縮症等の副作用の点で小児科領域では使用しにくい。近年ようやく成人領域で静脈内投与が許可され, 小児科領域でも静脈内投与例についての検討が散見されるようになった。そこで今回我々は小児科領域におけるGMの点滴静注時の基礎的, 臨床的検討を行うためにGM小児科領域研究会を組織し以下の結果を得た。
1. GM体重kg当り2.0~2.5mg (最大60mg/回) を30分~1時間かけて点滴静注し, 従来報告されている筋肉内投与と同様に4~12μg/mlの有効血中濃度が得られた。
2. 点滴静注後6時間まで高濃度の尿中濃度が得られ, 尿中回収率は約60%であつた。
3. 本研究会に142例の症例が集められ, その内117例について検討した。疾患別臨床効果では肺炎30例/30例 (100%), 尿路感染症59例/60例 (98.3%), 皮膚軟部組織感染症12例/13 例 (92.3%), 合計94.9%の有効率であつた。
4. 細菌学的効果の検討ではStaphylococcus aureus8例/10例 (80%), Pseudomonas aeruginosa 3例/5例 (60%), Haemolphilus influenzae7例/7例 (100%), Escherichia coli 44例/45例 (97.8%), 合計92.4%の消失率であつた。混合感染例は6例/7例 (85.7%) であつた。
5. 聴力障害, 腎障害, アレルギーなどの副作用は認めなかつた。検査値異常は合計5.6%に認められ, その内訳はGOT上昇 (3.1%), GPT上昇 (3.9%), 血小板増多 (1.5%), 好酸球増多 (0.8%) であった。
以上からGMの点滴静注は小児科領域では有用な方法である。

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