The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるRokitamycin dry syrupの臨床的検討
春田 恒和筒井 孟黒木 茂一大倉 完悦山本 初実鈴木 紀子小林 裕
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1988 年 41 巻 7 号 p. 914-919

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抄録

Rokitamycin (RKM, TMS-19-Q) dry syrupの吸収排泄及び臨床使用成績を検討し, 以下の結論を得た。
1. 3例の小児に本剤10mg/kg1回経口投与後の血漿中濃度のピークは, 2例で30分にあり, それぞれ0.75,0.51μg/ml, 1例では1時間で0.21μg/ml, 4時間では3例とも0.07~0.08μg/ml, 6時間では検出不能となり, T 1/2は1.05~2.08時間であった。2例で検討した6時間までの尿中回収率は, それぞれ1.52, 1.11%であった。
2. 24名25疾患に本剤1回7.14~12.5mg/kgを1日3~4回, 4~10日間投与した。
対象疾息は扁桃炎12例, 気管支炎7例, 大腸炎3例, HaeMophIlus influenzae肺炎, Mycoplasma肺炎, 百日咳各1例で, 臨床効果は著効7例, 有効13例, 無効5例, 有効率80.0%, 細菌学的効果は, 起炎菌を検出し追跡できた17株のうち, 消失8株, 減少1株, 不変8株で, 消失率47.1%であった。
3. 副作用例は1例もなく, 臨床検査値異常として, 1例に軽度の好酸球百分率, GOT, GPT値の上昇を認めただけであった。
4. 非常に嫌がった1例はあったが, 拒否して投薬不可能だった症例はなく, 本剤の味と匂いは小児にかなり受入れやすいものと考えられた。
5. 以上の成績から, 本剤は小児科領域において有用な新抗生物質と考えられた。

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