The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児, 乳児におけるCeftizoximeの臨床投与成績及び薬物動態
坂田 宏藤田 晃三室野 晃一梯 仁志帰山 雅人岡 敏明吉岡 一印鑰 史衛
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1988 年 41 巻 8 号 p. 1046-1052

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抄録

新生児, 幼若乳児13例にCeftizoxime (CZX) を投与し, その臨床効果と副作用及び薬物動態について検討した。
臨床投与成績と副作用は9例について検討した。本剤の適応と考えられた敗血症2例, 敗血症を伴つた尿路感染症が1例, 尿路感染症が1例, 胎内感染が1例の合計5例に対する投与成績は著効4例, 有効1例であった。副作用は合計9例について検討したが, 臨床上, 検査上も異常を認めなかつた。
薬物動態は8例で検討した。全例, CZXを20mg/kg One shotで静注した成績である。血清中濃度は投与後2時間で19.2~44.2μg/ml, 8時間で2.11~26.3μg/mlであつた。血清中半減期は1.90~9.57時間であつた。体重が1,500g以上では1.90~5.79時間, 1,500g未満では5.63~9.57時間と体重が少ない方が半減期が長い傾向にあつた。7例における尿中回収率は, ばらつきがあるものの0~6時間では31.9~66.9%, 0~8時間まで検討できた4例では38.5~78.5%であつた。これらの症例の尿中濃度は, 最低で130~297μg/ml, 最高で261~3,219μg/mlであつた。
腸内細菌叢の変動は1例で検討した。本剤投与によりEnterobacteriaceaeと嫌気性菌が抑制され, Streptococcusの変動は少なかつた。投与中の糞便内濃度は93.6μg/gであつた。投与中止後5日目にはBifidobacteriumも出現し, ほぼ正常の腸内細菌叢に回復した。

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