The Japanese Journal of Antibiotics
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41 巻, 8 号
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  • 千村 哲朗
    1988 年 41 巻 8 号 p. 965-969
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域における開腹手術 (腹式帝王切開術, 腹式子宮全摘術, 卵巣腫瘍摘出術) 及び感染症97例を対象とし, Cefotetan (CTT) 投与時のAcute phase reactants (APR) の経日的変動を検討し, 以下の成績を得た。
    1. APRとしてα1-Acid glycoprotein (α1-AG), Haptoglobin (Hp), C-reactive protein (CRP) の術後変動を測定した。α1-AG値は術前44.04~56.62mg/dlを示し, 術後85.73~116.33mg/dl (7日目) に上昇し, 14日目で69.40~99.93mg/dlに下降した。Hpも同様の傾向を示したが, α1-AG値より一般に高値を認めた。CRP値の変動も同様であるが, 前2者に比較し, 速やかな術前値への復帰を示した。
    2. CTT投与の臨床効果では, 全例にその有効性を認め, 臨床検査値の異常, 自他覚的副作用は1例にも認められなかった。
    APRの術後推移は手術侵襲に対する回復度と, 炎症所見の合併度を反映するマーカーの一つとしての臨床的意義が示唆された。
  • Cefuzonam産婦人科感染症研究会
    松田 静治, 鈴木 正明, 宮崎 亮一郎, 清水 哲也, 牟禮 一秀, 相馬 彰, 長谷川 天洙, 芳賀 宏光, 斉藤 豊一, 斉藤 聰史, ...
    1988 年 41 巻 8 号 p. 971-996
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuzonam (CZON, L-105) の産婦人科領域における感染症に対する有効性と安全性を基礎的, 臨床的に評価し, 以下の成績を得た。
    1. 産婦人科領域感染症から比較的高頻度に分離されたStaphylococcus aureus, Coagulase (一) staphylococci, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Bacteroides fragilis group, Peplostreplococcus spp. に対するCZONのMICのPeak値は106CFU/ml接種でそれぞれ0.39, 0.20, 0.024, 0.024~0.05, 12.5, 0.20μg/mlであった。
    2. CZON 1gを静注後, 骨盤死腔滲出液への移行は60.9分に最高になり, その時の濃度は18.7μg/mlであった。各組織への移行は0.6~27.9分で最高に達し, その濃度は11.9~26.3μg/gであった。又, 1g 1時間点滴静注した場合, 骨盤死腔滲出液への移行は点滴静注終了後97.0分で最高に達し, その濃度は8.3μg/mlであった。各組織への移行性は点滴静注終了直後に最高になり, その濃度は14.3~30.0μg/gであった。
    2g 1時間点滴静注の場合, 各組織への移行は投与終了直後に最高に達し, その濃度は35.0~53.9μg/gで, 用量依存的に高くなっていた。
    3. 臨床効果は婦人性器感染症206例で検討した。有効率は子宮内感染症で97.1% (67例/69例), 骨盤内感染症で81.6% (31例/38例), 子宮付属器炎で91.8% (45例/49例), 外性器感染で95.2% (20例/21例), その他の感染症では86.2% (25例/29例) であった。
    4. 副作用はCZONを投与した262例中7例に発現し, 主な症状は発疹, 発赤など皮膚症状であった。臨床検査値異常は9例にみられたが, そのほとんどが肝機能検査値の軽度上昇であった。
    以上のことからCZONは産婦人科領域の感染症に対して有用性の高い薬剤と考えられる。
  • 本郷 基弘, 清水 礼子, 栄 勝美, 高知 利勝, 谷 政明
    1988 年 41 巻 8 号 p. 997-1001
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹式単純子宮全摘出術を施行する患者24例に, Cefuzonam (CZON) 1gを静注し, 肘静脈, 子宮動脈血清中濃度, 子宮及び子宮付属器組織内濃度をBioassay法にて測定した。両側子宮動脈挾鉗時をもつて検体採取時点とし, 投与後15, 30分, 1, 2, 4, 6時間目に検体を採取した。
    肘静脈血清中濃度と子宮動脈血清中濃度はほぼ同一のレベル推移を示し, 半減期はそれぞれ52.0分, 48.2分であった。卵管, 卵巣, 子宮内膜, 子宮体部筋層, 子宮頸部, 子宮腟部いずれも投与後15分で最高濃度を示し, 卵巣で37.5μg/gと高く, 他組織では17.6~25.5μg/gであった。その後は経時的に減少しその半減期は37.4~53.7分と血清中濃度半減期とほぼ同等であった。以上の成績から, 本剤の女性性器各組織への移行性は良好であり, 産婦人科感染症において高頻度に分離される菌の発育を阻止するのに充分な濃度の移行が認められた。このことから臨床的にも性器感染症に対し本剤が充分な効果を示すものと推測された。
  • 内藤 博之, 山中 伸一郎, 正岡 亨, 原 鐵晃, 占部 武, 藤原 篤
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1002-1007
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuzonam (CZON, L-105) の産婦人科領域感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 産婦人科感染症10例 (骨盤内感染症5例, 子宮内感染症3例, 子宮付属器炎1例, 外性器感染症1例) に対する臨床効果は, 著効1例 (11.1%), 有効7例 (77.8%) で有効率は88.9%となり, 無効1例 (11.1%), 効果判定不能1例であつた。
    2. 細菌学的効果では, 4菌種5菌株が分離され, 5菌株すべてが消失した。
    3. 副作用, 臨床検査値については, アレルギー体質の1例に好酸球増多を伴う発疹が認められた以外は特記すべき異常は観察されなかつた。
    以上から, CZONは産婦人科領城の感染症において, 副作用も少なく, 十分な臨床効果が期待できる薬剤であると考えられた。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1008-1014
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuzonam (L-105, CZON) について, 婦人性器組織内, 骨盤死腔液中への移行性及び産婦人科領域感染症に対する臨床効果について検討した。
    1. 婦人性器組織内濃度はやや低値であったが, 産婦人科感染症の主たる起炎菌であるEsckerichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対する本剤のMICより, 充分臨床効果の期待できる移行性を示した。骨盤死腔液中へは比較的良好な移行性を示し, 30分~1時間後には20μg/mlを示した。
    2. 臨床例では, 子宮溜膿腫3例, 産褥子宮内感染1例, 腟断端炎1例の計5例に投与し, 有効4例, 無効1例, 有効率80.0%であつた。副作用, 臨床検査値異常は認められなかつた。
  • 久保田 健二, 安日 一郎, 平井 雅直, 下村 恭子
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1015-1029
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファロスポリン系の注射用抗生物質であるCefuzonam (CZON, L-105) の婦人性器組織への移行及び産婦人科領域感染症に対する細菌学的及び臨床的検討を行った。
    CZON 1g静注後の血清中及び性器組織内濃度の最高値は, それぞれ血清69.6μg/ml, 卵管63.1μg/g, 卵巣34.2μg/g, 子宮内膜22.5μg/g, 子宮体部筋層33.4μg/g, 子宮頸部30.7μg/g, 子宮腟部37.1μg/gが投与19~46分後に認められた。子宮感染症及び子宮付属器炎15例に対する臨床効果は著効4例, 有効11例と100%の有効率であつた。これらの患部から分離された好気性菌及び嫌気性菌21株中19株が本剤投与後消失した。副作用は認められなかった。
    以上の基礎的, 臨床的検討からCZONは産婦人科領域感染症に極めて有用性の高い薬剤であると結論される。
  • 藤井 良知, 吉岡 一, 小佐野 満, 中澤 進, 堀 誠, 岩井 直一, 西村 忠史, 小林 裕, 本廣 孝, 由良 二郎, 清水 哲也, ...
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1030-1045
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるCeftizoxime (CZX) の体内動態及び臨床的有用性を検討し, 以下の成績を得た。
    1. 体内動態
    (1) CZX 20mg/kg One shot静注時の血清中濃度半減期 (T 1/2) は生後0~3, 4~7, 8~14, 15~30日で成熟児ではそれぞれ4.14, 3.01, 2.57, 1.98時間, 未熟児ではそれぞれ5.26, 4.59, 3.71, 2.64時間で共に日齢の増加に伴い短縮する傾向がみられ, 未熟児では成熟児に比べ延長していた。
    (2) CZX 10mg/kg One shot静注時のT 1/2は20mg/kg静注時とほぼ同様であつた。又, 20mg/kgと10mg/kg投与時の血清中濃度には用量相関が認められた。
    (3) CZX 20mg/kgを1時間で点滴静注した際の体内動態はOne shot静注とほぼ同様の成績であった。
    (4) CZX 20mg/kg One shot静注時の0~6時間尿中排泄率は成熟児では生後0~3日で約35%, 4日以降で約45~55%, 未熟児では生後0~3日で約30%, 4日以降約45%であつた。
    2. 臨床的検討
    (1) 新生児有効性検討症例は112例で感染症83例, 感染予防29例であつた。感染症83例のべ86疾患の臨床効果は起炎菌検出例 (A群) 40例で有効率95.0%, 起炎菌不明例46例では95.7%であり, 共に優れた成績であつた。細菌学的効果はA群から検出された41株で検討し, 菌消失率はグラム陽性菌で89.5%, グラム陰性菌では95.5%であつた。
    又, 感染予防として使用した29例での予防効果は96.6%であつた。
    (2) 副作用は新生児期症例120例では認められなかった。臨床検査値異常として白血球減少, 好中球減少, 好酸球増多, 血小板増加, GOT又はGPT上昇などが認められた。
    以上の体内動態及び臨床成績から, CZXは新生児領域感染症に極めて有用性の高い薬剤であると考えられ, 新生児における標準投与量を通常20mg/kgを生後3日までは1日2回, 4~7日までは2~3回, 8日以降は3~4回静注又は点滴静注, 重症症例には1日120mg/kgまで増量すると設定した。
  • 坂田 宏, 藤田 晃三, 室野 晃一, 梯 仁志, 帰山 雅人, 岡 敏明, 吉岡 一, 印鑰 史衛
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1046-1052
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 幼若乳児13例にCeftizoxime (CZX) を投与し, その臨床効果と副作用及び薬物動態について検討した。
    臨床投与成績と副作用は9例について検討した。本剤の適応と考えられた敗血症2例, 敗血症を伴つた尿路感染症が1例, 尿路感染症が1例, 胎内感染が1例の合計5例に対する投与成績は著効4例, 有効1例であった。副作用は合計9例について検討したが, 臨床上, 検査上も異常を認めなかつた。
    薬物動態は8例で検討した。全例, CZXを20mg/kg One shotで静注した成績である。血清中濃度は投与後2時間で19.2~44.2μg/ml, 8時間で2.11~26.3μg/mlであつた。血清中半減期は1.90~9.57時間であつた。体重が1,500g以上では1.90~5.79時間, 1,500g未満では5.63~9.57時間と体重が少ない方が半減期が長い傾向にあつた。7例における尿中回収率は, ばらつきがあるものの0~6時間では31.9~66.9%, 0~8時間まで検討できた4例では38.5~78.5%であつた。これらの症例の尿中濃度は, 最低で130~297μg/ml, 最高で261~3,219μg/mlであつた。
    腸内細菌叢の変動は1例で検討した。本剤投与によりEnterobacteriaceaeと嫌気性菌が抑制され, Streptococcusの変動は少なかつた。投与中の糞便内濃度は93.6μg/gであつた。投与中止後5日目にはBifidobacteriumも出現し, ほぼ正常の腸内細菌叢に回復した。
  • 佐藤 肇, 中澤 進, 成田 章, 中澤 進一, 松本 貴美子, 鈴木 博之, 中西 好子, 近岡 秀次郎, 神垣 昌人, 新納 憲司
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1053-1064
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児に対するCeftizoxime (CZX) 静注時の基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得ることができた。
    1. 20mg/kg One shot静注時の成熟児の血中濃度は日齢2, 3日児ではPeakは1時間後の49.0, 57.9μg/ml, 8時間値は14.4, 24.9μg/ml, T 1/2は3.9, 5.6時間で5日児以上の症例ではPeakは1時間後の20.9~38.0μg/ml, 8時間値は1.31~7.32μg/ml, T 1/2は1例を除き1.6~3.0時間であつた。
    2. 同量One shot静注時の未熟児3日児の血中濃度のPeakは1時間後の45.7μg/ml, 8時間値は15.7μg/ml, T 1/2は4.2時間で5~15日児では1例を除きT 1/2は2.3~3.1時間であつた。
    3. 20mg/kg 1時間点滴静注時の日齢1, 2日児では晦中濃度のPeakは点滴静注終了時の49.4~115.0μg/ml, T 1/2は1例を除き4.0, 5.1時間と高い値であつた。
    4. 日齢3日児までと5日児以上の血中濃度を比較すると血中濃度のPeak, T 1/2は日齢の増加と共に低下傾向をたどつた。
    5. 20mg/kgの静注を連続投与しても血中濃度に影響はみられなかつた。
    6. 20mg/kg One shot静注時の8時間 (1例は6時間, 2例は9時間) 目までの尿中排泄率は日齢3日児まででは5日児以上に比較して少ない傾向にあつた。
    7. 新生児各種感染症11例をCZX One shot静注並びに点滴静注によって治療した。使用量は36~148mg/kg/日 (分2~3), 投与日数は3~12日で, 急性気管支炎, 急性肺炎, 胎内感染による敗血症の疑い, 急性中耳炎, 蜂窩織炎, Klebsiella pneumoniaeEscherichia coliの混合感染の証明された髄膜炎, 急性尿路感染症, 肛門周囲膿瘍等に対し明らかな治療効果がみられた。
    11例の各種検体から5種類の菌種が培養上証明されたが, CZXの投与によって培養上いずれも陰性化した。
    8. 本剤投与による臨床的な全身的, 局所的副作用はみられなかつたが, 3例に血小板数の増加, 1例にGOTの上昇がみられた。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 堀 誠
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1065-1086
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) で治療あるいは感染予防のために使用した各種細菌感染症の治癒近い時期の日齢1~17日までの成熟児13例, 未熟児16例について, 10mg/kg, 20mg/kgをOne shot静注し, その後の血清中濃度推移及び尿中回収率を検討した。例数は少なかったが, 成熟児, 未熟児とも, 日齢ごとに0~3日, 4~7日, 8日以上に分けて比較検討した。臨床的検討を行つたのは生後3~34目までの男児9例, 女児6例であり, その内訳は敗血症4例 (化膿性髄膜炎, 尿路感染症, ブドウ球菌性肺炎との合併それぞれ1例), 上顎洞炎1例, 気管支肺炎5例, 尿路感染症5例であつた。
    1. 血清中濃度推移及び尿中回収率
    (1) 成熟児, 10mg/kg One shot静注
    3群のピーク値は初回採血時 (30分) では18.9~23.3μg/mlで有意差は認めず, その後緩徐に減少し, 8時間で2.10~4.99μg/mlを示していた。半減期は口齢が進むほど短縮しており, それぞれ3.89, 2.99, 2.35時間であつた。
    尿中回収率は8時間ないし6時間までに55.5~70,0%であつた。
    (2) 成熟児, 20mg/kg One shot静注
    3群とも初回採血時 (30分) にピークを示し, それぞれ36.9, 41.4, 38.4μg/mlであった。その後も緩徐に濃度は減少し, 8時間でも9.0, 7.3, 4.5μg/mlであつた。半減期も日齢が進むにつれ短縮傾向を示し, それぞれ3.59, 2.93, 2.49時間であつた。尿中回収率は12時間まで検討した例が2例 (8時間まで2例, 6時間まで1例) あつたが, 43.5~78.2%であつた。
    (3) 未熟児, 10mg/kg One shot静注
    3群とも初回採血時 (30分) にピークを示し, それぞれ27.9, 21.5, 23.0μg/mlであった。その後濃度は徐々に漸減し, 8時間値でも10.8, 6.2, 6.5μg/mlを示した。半減期は日齢が進むにつれ徐々に短縮し, それぞれ5.28, 4.43, 4.24時間であつた。尿中回収率は24時間まで検討した1例では98.5%, 12時間までの2例は72.1, 81.5%, その他8時間までの3例では59.0~79.4%であった。
    (4) 未熟児, 20mg/kg One shot静注
    3群のピークは初回採血時 (30分) に認められ, それぞれ49.8, 37.0, 42.2μg/ml, 8時間値では14.1, 6.6, 4.9μg/mlであつた。血中半減期はやはり日齢が進むにつれ短縮する傾向を示しており, 4.27, 3.02, 2.06時間であつた。尿中回収率は24時間まで検討した1例では75.1%, 8時間まで検討した2例は60.0, 56.9%, 6時間まで検討した5例では53.8~70.6%であった。
    2. 臨床成績
    15例 (18疾患) で検討し, CZX 21.1~175.4mg/kgの投与量を2~4回に分けて投与した。
    本剤が無効と判断したのは敗血症+ブドウ球菌性肺炎例のうち肺炎に対してであり, 有効率は94%である。なお, 菌が検出されたものは16疾患であり, その内訳はEscherichia coli 7疾患, Klebsiella pneumoniae 2疾患, Staphylococcus aureus 3疾患, Staphylococcus epidermidis 1疾患, Group B Streptococcus (GBS) 2疾患, Streptococcus pneumoniae 1疾患であり, 臨床無効例の起因菌であるS. aureusが除菌できなかつた以外はすべて経過中に除菌が確認された。
    副作用としては, 自他覚的副作用は1例も認めず, 臨床検査値異常としてGOT, GPTの上昇が1例に認められたが, 臨床的に特に問題となる症例はなかった。
  • 岩井 直一, 宮津 光伸, 片山 道弘, 種田 陽一, 中村 はるひ, 尾崎 隆男, 田内 宣生, 山口 英明
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1087-1105
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児領域におけるCeftizoximeの基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 生後1~27日の新生児12例 (在胎週数35~41週, 生下時体重2,150~4,030g) と生後55~57日の乳児2例 (在胎週数39~40週, 生下時体重2,320~2,650g) に本剤20mg/kgをOne shot静注した際の血清中濃度と尿中排泄について検討した。
    新生児の血清中濃度は静注後1/4時間が24.9~53.7μg/ml (平均40.6±7.6μg/ml) であり, その後は1.32~4.75時間 (平均2.60±1.06時間) の半減期をもつて推移し, 6時間値は2.01~14.6μg/ml (平均7.70±3.89μg/ml) であつた。又, 乳児では, 1/4時間値は42.0~46.2μg/ml (平均44.1±3.0μg/ml) で, 半減期は154~1.93時間 (平均L74±0.28時間), 6時間値は2.91~5.04μg/ml (平均3.98±1.51μg/ml) であった。更に, 6時間までの尿中回収率は, 前者では28.5~71.7% (平均49.3±12.8%), 後者では42.1~55.5% (平均48.8±9.5%) であった。
    これらの成績から, 新生児の血清中濃度のピーク値(1/4時間値)は, 日齢には関係なく, 乳児や年長児とほとんど変らない値を示すこと, 又, 半減期は生後間もないものでは年長児の4~5倍と長いが, その後急速に短縮し, 生後2週頃には2倍前後となり, 乳児期前半ともなると年長児に近い値を示すようになること, 更に尿中排泄については, 目齢の若いものでは若干低い傾向にあるものの, 比較的早期から乳児や年長児に近い排泄能を有することが推測された。
    2. 敗血症疑い3例, 急性肺炎14例, 急性気管支炎2例, 上気道炎3例, 急性尿路感染症4例, 急性化膿性中耳炎1例, 周産期感染症7例, 感染予防11例に本剤を投与し, 新生児期における有効性と安全性について検討を行った。
    細菌の関与が否定された急性肺炎1例, 急性気管支炎1例, 上気道炎3例と, 感染予防の目的で投与された11例を除いた残り29例に対する臨床効果は著効15例, 有効13例, やや有効1例で, 有効率は96.6%であった。又, 細菌学的効果については, 原因菌と考えられたStaphlococcus aureus 3株,Streptococcus agalactiae 2株, Streptococcus pneumoniae 1株, Escherfchia coli4株, Pseudomonas aeruginosa 1株は, S.aureusの1株とP.aeruginosaを除き消失と判定され, 除菌率は81.8%であつた。更に, 副作用については, 下痢が1例に認められたが, 止痢剤の投与により改善された。臨床検査値異常としては, 血小板増多が1例, GOT及びGPTの上昇が1例, 好酸球増多が2例に認められたが, いずれも軽度であつた。
    これらの成績から, 本剤は新生児期においても有効性と安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 大倉 完悦, 山岡 幸司, 黒木 茂一, 山本 初実, 春田 恒和, 小林 裕
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1106-1115
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児・未熟児細菌感染症に対するCeftizoximeの有用性を検討した。
    1. 生後6日以内の新生児8例において血中濃度を測定した。
    6例における本剤約20mg/kg静注後の血中濃度平均値は1/2, 2, 4, 6時間の順に, 52.3, 36.4, 26.7, 16.7μg/mlであつた。他の29.7, 25.1mg/kg静注の2例の30分値はそれぞれ71.94μg/ml, 6時間で22.1, 39μg/mlと高かつた。
    血中濃度半減期は成熟新生児では, 7.92時間と長かつた1例を除いて, 残り5例では2.36~3.34時間, 平均2.75時間, 未熟児2例ではそれぞれ4.14, 4.90時間であった。
    2. 10例の新生児細菌感染症 (肺炎4例, 敗血症, 尿路感染症, 胎内感染各2例) に本剤1回16.9~24.6mg小kgを1日2~3回静注した。但し感染頭血腫を合併した敗血症の1例では21.8~49.8mg/kgを1113~4回用いた。臨床効果は著効3例, 有効6例, 無効1例で有効率は90.0%であった。起炎菌Escherichia coliが検出された敗血症, 尿路感染症各2例では, 菌は全例消失した。
    3. 感染予防の目的で8例に1回17.5~29.1mg/kgを1日2~3回静注し, 7例では感染はおこらなかつた。
    4. 副作用と考えられる症状所見は18例全例に全くみられず, 検査値異常として軽度で一過性の血小板数, GOT, GPT値の上昇, 好酸球の増加各1件が2例にみられただけであった。
    以上の成績から, 本剤は新生児期細菌感染症に有効, 安全な抗生剤で, 生後7日まででは1回20mg/kgを1日2回ないし3回の投与で所期の効果をあげうるものと考えられた。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 富永 薫, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 田中 耕一, 川上 晃, 島田 康, 古賀 達彦, 冨田 尚文, 藤本 保 ...
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1116-1128
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephem系抗生物質の中で, 藤井の分類では第5群に属するCeftizoxime (CZX) 20mg/kgを4~21生日の新生児, 未熟児にOne shot静注で投与し, 投与後8時間までの血漿中濃度と尿中濃度及び尿中回収率を測定した。又, 0生日から76生日までの新生児, 未熟児, 乳児の種々の細菌感染症及び細菌感染症疑い16例と感染予防を目的として6例, 計22症例に本剤を1日量平均55.3mg/kg, 1日1回か分2~4 (分2は16例, 分3は3例, 分4は2例), One shot静注で平均6日間投与し, 臨床効果, 感染予防効果及び細菌学的効果をみると共に副作用と臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. 4~7, 8~14, 15~21生日群の平均血漿中最高濃度はいずれも投与5分後が最高値で, 各々58.3, 74.9, 76.9μg/mlを示し, 4~7生日群が他の2生日群に比べ低い傾向を示し, 平均AUCはそれぞれ218.9, 221.0, 197.0μg・hr/mlで, 著しい差はなかつたが, 平均半減期は各々3.61, 2.72, 2.37時間を示し, 日齢の若い群が延長の傾向にあつた。
    2. 4~7, 8~14, 15~21生日群の尿中濃度は0~2, 2~4, 4~6, 6~8時間のいずれかの時間に10.9~1,190μg/ml域を示し, 4~7, 8~14, 15~21生日群の投与8時間後までの平均回収率は各々60.1, 68.7, 56.7%で, 15~21生日群が他の日齢群に比較し低率であつた原因は1例が34.5%を示したためであつたが, その原因は不明であつた。
    3. 種々の細菌感染症及びその疑い例16例に対する臨床効果は有効率87.5%, 感染予防を目的として投与した6例では全例にその効果が得られた。
    4. 細菌学的効果はわずかEscherlchia coliの1例だけに判定でき消失した。
    5. 副作用の出現例はなく, 臨床検査値異常として好酸球増多が1例5.3%に認められ, 本剤と多分関連ありとされた。
  • 母子化学療法研究会
    松田 静治, 清水 哲也, 一戸 喜兵衛, 張 南薫, 野田 克已, 二宮 敬宇, 岡田 弘二, 藤井 良知, 吉岡 一, 小佐 野満, 中 ...
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1129-1141
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    周産期妊産婦及び新生児に対するCeftizoxime (CZX) の基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 周産期妊婦にCZX1g1回静注後の母体血清中濃度はピーク値70.2μg/ml, 半減期1.35時間であつた。又, 臍帯血清中への移行は速やかで, 投与後0.5時間でピーク値15.7μg/mlを示し, 以後2.95時間の半減期で漸減した。羊水中への移行は投与2時間以降で10~30μg/mlのピーク値を示し, 投与後18時間でも10μg/ml以上を示した。一方, 乳汁中への移行は投与1~8時間後で平均く0.32 (検出限界以下)~0.52μg/mlであつた。
    2. 母体にCZX1g1回静注後の新生児の血清中濃度は投与後12時間 (娩出後6~11時間) で3.40~13.5μg/ml, 24時間後 (娩出後約14時間) で0.87μg/mlを示した。
    3. 周産期妊産婦を対象に感染症の治療又は感染予防を目的としてCZXを1回1~29, 1日2~3回静注あるいは点滴静注した。その臨床成績は感染症治療を目的とした29例中28例が有効以上で有効率96.6%であった。細菌学的効果はグラム陽性菌, グラム陰性菌及び嫌気性菌を含めた全31株中27株 (87.1%) が消失した。又, 感染予防効果を検討した15例では14例が有効であつた。
    4. 安全性はCZXを投与された総数44例について検討したが, 副作用は1例も認められず, トランスアミナーゼの軽度上昇が1例に認められただけであった。又, 娩出後の新生児にも何ら異常は認められず, 新生児の血清総ビリルビン値についても本剤によると思われる異常値は1例も認められなかった。
    以上から, 本剤は周産期妊産婦における各種感染症の治療及び感染予防に対して安全で有効な薬剤であると思われた。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 國井 勝昭, 手塚 孝一, 小林 寅喆
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1142-1154
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    周産期におけるCeftizoxime (CZX) の臨床応用に関し, 基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た.
    羊水中での細菌の増殖曲線に及ぼすCZXの殺菌効果を検討し, Streptococcus agalactiae, Staphylococcus aureus (耐性株及び感受性株), Escherichia coli (比較的耐性株及び感受性株) に対し, CZXが羊水中で抗菌力を増強することを認め, 特に耐性菌に対し著明な殺菌効果の増強を認めた。
    CZXの母乳移行は少量で, 母乳を通じての新生児への移行は微量とみられた.
    周産期感染症の治療にCZXを投与し, 臨床効果を認め, 副作用はなかつた。
    以上の諸成績から, 周産期におけるCZXの臨床的有用性が示唆された。
  • 伊藤 邦彦, 和泉 孝治, 高木 博, 横山 康宏, 玉舎 輝彦, 馬場 義孝, 早崎 源基
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1155-1163
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) 2g, 1時間点滴静注時の骨盤死腔浸出液への移行, 周産期における母児体内動態を検討し, 以下の成績を得た。
    1. CZX 2g, 1時間点滴静注時, 血清中濃度のピークは115.3μg/mlを示した。骨盤死腔浸出液移行濃度は点滴静注開始2.02時間で34.10μg/mlのピークを示した。血清中及び骨盤死腔浸出液中でのCZXの半減期はそれぞれ1.64時間及び3.65時間であつた。
    2. 臍帯血への移行は速やかで1時間15分後には10μg/ml以上, 投与6時間でも3μg/ml以上の濃度であつた。
    3.CZXの乳汁中への移行は少なく母乳を介して児への影響は少ないと思われた。
    4.CZX投与により前期破水による感染症の防止効果が期待できる。
    以上のことから, 本剤は産婦人科領域で有用な薬剤と考えられる。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1988 年 41 巻 8 号 p. 1164-1171
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科周産期領城においてCeftizoxime (CZX) のPharmacokinetic及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. CZX1g静注後の母体血清中, 臍帯血清中, 羊水中濃度を測定した。
    母体血清中濃度は投与後約15分で平均57.3μg/mlを示し, 以後漸減し, 1時間55分で13.1μg/ml, 4時間20分で3.59μg/ml, 17時間51分で0.11μg/mlの値を示した。
    臍帯血清中濃度は, 投与後32分で23.5μg/mlと最高値を示し, 以後は母体血清中濃度に比べ緩徐に減少し, 投与後3時間以降では母体血清中濃度より高値で推移し, 投与後17時間51分で0.41μg/mlの値を示した。
    羊水中濃度は投与後30分までは1.00μg/ml以下と低値であったが, 以後漸増し, 1時間55分で21.3μg/mlを示し, 投与後17時間51分を経過しても9.44μg/mlの値を示した。
    2. 産婦人科周産期感染症7例にCZX1回1~2g1目2回, 5~9日間静注投与した.
    臨床効果はCandida alblcansによる無効1例を除けば著効1例, 有効5例と満足すべき結果であった。
    副作用及び臨床検査値異常は全例において認められなかつた。
    以上CZXは産婦人科周産期領域において有用性の高い薬剤であると判断した。
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