The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児, 未熟児におけるCeftizoximeの薬動力学的並びに臨床的検討
藤井 良知吉岡 一小佐野 満中澤 進堀 誠岩井 直一西村 忠史小林 裕本廣 孝由良 二郎清水 哲也一戸 喜兵衛松田 静治張 南薫野田 克已二宮 敬宇岡田 弘二八木澤 守正
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1988 年 41 巻 8 号 p. 1030-1045

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抄録

新生児, 未熟児におけるCeftizoxime (CZX) の体内動態及び臨床的有用性を検討し, 以下の成績を得た。
1. 体内動態
(1) CZX 20mg/kg One shot静注時の血清中濃度半減期 (T 1/2) は生後0~3, 4~7, 8~14, 15~30日で成熟児ではそれぞれ4.14, 3.01, 2.57, 1.98時間, 未熟児ではそれぞれ5.26, 4.59, 3.71, 2.64時間で共に日齢の増加に伴い短縮する傾向がみられ, 未熟児では成熟児に比べ延長していた。
(2) CZX 10mg/kg One shot静注時のT 1/2は20mg/kg静注時とほぼ同様であつた。又, 20mg/kgと10mg/kg投与時の血清中濃度には用量相関が認められた。
(3) CZX 20mg/kgを1時間で点滴静注した際の体内動態はOne shot静注とほぼ同様の成績であった。
(4) CZX 20mg/kg One shot静注時の0~6時間尿中排泄率は成熟児では生後0~3日で約35%, 4日以降で約45~55%, 未熟児では生後0~3日で約30%, 4日以降約45%であつた。
2. 臨床的検討
(1) 新生児有効性検討症例は112例で感染症83例, 感染予防29例であつた。感染症83例のべ86疾患の臨床効果は起炎菌検出例 (A群) 40例で有効率95.0%, 起炎菌不明例46例では95.7%であり, 共に優れた成績であつた。細菌学的効果はA群から検出された41株で検討し, 菌消失率はグラム陽性菌で89.5%, グラム陰性菌では95.5%であつた。
又, 感染予防として使用した29例での予防効果は96.6%であつた。
(2) 副作用は新生児期症例120例では認められなかった。臨床検査値異常として白血球減少, 好中球減少, 好酸球増多, 血小板増加, GOT又はGPT上昇などが認められた。
以上の体内動態及び臨床成績から, CZXは新生児領域感染症に極めて有用性の高い薬剤であると考えられ, 新生児における標準投与量を通常20mg/kgを生後3日までは1日2回, 4~7日までは2~3回, 8日以降は3~4回静注又は点滴静注, 重症症例には1日120mg/kgまで増量すると設定した。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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