1988 年 41 巻 8 号 p. 1116-1128
Cephem系抗生物質の中で, 藤井の分類では第5群に属するCeftizoxime (CZX) 20mg/kgを4~21生日の新生児, 未熟児にOne shot静注で投与し, 投与後8時間までの血漿中濃度と尿中濃度及び尿中回収率を測定した。又, 0生日から76生日までの新生児, 未熟児, 乳児の種々の細菌感染症及び細菌感染症疑い16例と感染予防を目的として6例, 計22症例に本剤を1日量平均55.3mg/kg, 1日1回か分2~4 (分2は16例, 分3は3例, 分4は2例), One shot静注で平均6日間投与し, 臨床効果, 感染予防効果及び細菌学的効果をみると共に副作用と臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
1. 4~7, 8~14, 15~21生日群の平均血漿中最高濃度はいずれも投与5分後が最高値で, 各々58.3, 74.9, 76.9μg/mlを示し, 4~7生日群が他の2生日群に比べ低い傾向を示し, 平均AUCはそれぞれ218.9, 221.0, 197.0μg・hr/mlで, 著しい差はなかつたが, 平均半減期は各々3.61, 2.72, 2.37時間を示し, 日齢の若い群が延長の傾向にあつた。
2. 4~7, 8~14, 15~21生日群の尿中濃度は0~2, 2~4, 4~6, 6~8時間のいずれかの時間に10.9~1,190μg/ml域を示し, 4~7, 8~14, 15~21生日群の投与8時間後までの平均回収率は各々60.1, 68.7, 56.7%で, 15~21生日群が他の日齢群に比較し低率であつた原因は1例が34.5%を示したためであつたが, その原因は不明であつた。
3. 種々の細菌感染症及びその疑い例16例に対する臨床効果は有効率87.5%, 感染予防を目的として投与した6例では全例にその効果が得られた。
4. 細菌学的効果はわずかEscherlchia coliの1例だけに判定でき消失した。
5. 副作用の出現例はなく, 臨床検査値異常として好酸球増多が1例5.3%に認められ, 本剤と多分関連ありとされた。