The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域におけるCefotetan投与とAcute phase reactantsの動態
千村 哲朗
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1988 年 41 巻 8 号 p. 965-969

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抄録

産婦人科領域における開腹手術 (腹式帝王切開術, 腹式子宮全摘術, 卵巣腫瘍摘出術) 及び感染症97例を対象とし, Cefotetan (CTT) 投与時のAcute phase reactants (APR) の経日的変動を検討し, 以下の成績を得た。
1. APRとしてα1-Acid glycoprotein (α1-AG), Haptoglobin (Hp), C-reactive protein (CRP) の術後変動を測定した。α1-AG値は術前44.04~56.62mg/dlを示し, 術後85.73~116.33mg/dl (7日目) に上昇し, 14日目で69.40~99.93mg/dlに下降した。Hpも同様の傾向を示したが, α1-AG値より一般に高値を認めた。CRP値の変動も同様であるが, 前2者に比較し, 速やかな術前値への復帰を示した。
2. CTT投与の臨床効果では, 全例にその有効性を認め, 臨床検査値の異常, 自他覚的副作用は1例にも認められなかった。
APRの術後推移は手術侵襲に対する回復度と, 炎症所見の合併度を反映するマーカーの一つとしての臨床的意義が示唆された。

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