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東京総合臨床検査センター研究部
1988 年 41 巻 8 号 p. 971-996
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Cefuzonam (CZON, L-105) の産婦人科領域における感染症に対する有効性と安全性を基礎的, 臨床的に評価し, 以下の成績を得た。
1. 産婦人科領域感染症から比較的高頻度に分離されたStaphylococcus aureus, Coagulase (一) staphylococci, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Bacteroides fragilis group, Peplostreplococcus spp. に対するCZONのMICのPeak値は106CFU/ml接種でそれぞれ0.39, 0.20, 0.024, 0.024~0.05, 12.5, 0.20μg/mlであった。
2. CZON 1gを静注後, 骨盤死腔滲出液への移行は60.9分に最高になり, その時の濃度は18.7μg/mlであった。各組織への移行は0.6~27.9分で最高に達し, その濃度は11.9~26.3μg/gであった。又, 1g 1時間点滴静注した場合, 骨盤死腔滲出液への移行は点滴静注終了後97.0分で最高に達し, その濃度は8.3μg/mlであった。各組織への移行性は点滴静注終了直後に最高になり, その濃度は14.3~30.0μg/gであった。
2g 1時間点滴静注の場合, 各組織への移行は投与終了直後に最高に達し, その濃度は35.0~53.9μg/gで, 用量依存的に高くなっていた。
3. 臨床効果は婦人性器感染症206例で検討した。有効率は子宮内感染症で97.1% (67例/69例), 骨盤内感染症で81.6% (31例/38例), 子宮付属器炎で91.8% (45例/49例), 外性器感染で95.2% (20例/21例), その他の感染症では86.2% (25例/29例) であった。
4. 副作用はCZONを投与した262例中7例に発現し, 主な症状は発疹, 発赤など皮膚症状であった。臨床検査値異常は9例にみられたが, そのほとんどが肝機能検査値の軽度上昇であった。
以上のことからCZONは産婦人科領域の感染症に対して有用性の高い薬剤と考えられる。