1988 年 41 巻 9 号 p. 1231-1236
慢性呼吸器疾患を基礎疾患に持ち, 急性感染増悪を生じ, 起炎菌の判明した13例に対するオフロキサシン (OFLX) の有用性を検討した。
1. 総合臨床効果は著効5例, 有効6例, やや有効2例, 無効0例であり, 有効率は84.6% であった。
2. 37℃以上の発熱を認めた6例のOFLX投与後に解熱するまでの日数は1日4例, 3 日1例, 5日1例 (平均2.0日) であった。
3. 起炎菌の推移はHaemophilus influenzae10例中9例は菌消失し, 1例はPseudomonas aeruginosaに菌交代した。Branhamella catarrhalis3例は全例菌消失した。P. aeruginosa 1例は減菌した。細菌学的効果は, H. influenzae及びB. catarrhalisに対して十分に期待される。
4. 副作用は1例 (7.7%) に認められ, 心窩部不快感の消化器症状であったが, 胃粘膜保護剤の服用により, 症状の消失をみた。検査値の異常はみられなかつた。
以上から, OFLXは慢性呼吸器疾患の急性感染増悪例に対して有用な薬剤と言える。