The Japanese Journal of Antibiotics
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静注Sulbactam/Cefbperazoneの熱傷水疱液中への移行
青山 久杉山 博子多田 美香子奥田 潤井澤 洋平
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1988 年 41 巻 9 号 p. 1279-1284

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抄録

複合抗生物質製剤であるSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を熱傷患者に静脈内投与して, 熱傷水疱液への移行を調べた。
SBT/CPZは10名の熱傷患者に体重kg当り50mg (SBT 25mg/kg, CPZ 25mg/kg) をOne shot静脈内投与した。 血清中及び熱傷水疱液中SBT, CPZ濃度をBioassay及び高速液体クロマトグラフィー (HPLC) によって測定した。
血清中CPZ濃度は投与15分後に109.5±9.2μg/ml(Mean±S. E.), 8時間後に6.8±2.3μg/mlとなった。 一方, 熱傷水疱液中CPZ濃度は静注後30分で20.4±7.6μg/mlとなり, 1~6時間まで平均で27.0μg/mlの値を示した。 又, 血清中SBT濃度は投与後15分で75.7±8.3μg/mlに達し, 8時間後では2.3±0.7μg/mlに低下したのに対し, 熱傷水疱液中SBT濃度は静注後30分で6.3±1.3μg)mlの濃度を示し, 1~4時間目まで平均で12.2μg/mlの値を示した。
熱傷水疱液中CPZ, SBT濃度の薬動力学的解析を行つた結果, CPZではCmax30.4μg/ml, AUC0~8hrs. 194.0μg・hr/mlであり, tAUC (最低有効濃度以上のAUC) は97.1μg・hr/ml (0.3~11.1時間) であった。 SBTではCmax13.6μg/ml, AUC0~8hrs・68.3μg・hr/mlとなった。
又, CPZ, SBT濃度をBioassay及びHPLCで測定したところ両分析法による測定値はよく一致し, 良好な相関性が得られた。

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