The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefsulodinの腎機能障害患者における薬動力学的検討
和志田 裕人阪上 洋渡辺 秀輝佐々木 昌一
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1988 年 41 巻 9 号 p. 1272-1278

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抄録

種々の程度の腎機能を有する17名の男女にCefsulodin 1gを生理食塩液20mlに溶解してOne shot静注し, 24時間後まで経時的に血清中濃度と尿中排泄量を測定した。 濃度測定は高速液体クロマトグラフィー法により行い, 薬動力学的解析はTwo-compartment modelで行つた。対象はクレアチニンクリアランス(Ccr)≥70ml/min(I群), 50~<70ml/min(II群), 30~<50ml/min(III群), <30ml/min (IV群) に分けて検討した。
血清中濃度はCcrの低下に伴って血清中からの消失が遅延する傾向を認め, 血清中半減期 (T1/2β) はI群1.03時間, II群2.09時間, III群3.44時間, IV群4.52時間であり, III群及びIV群で延長していた。 血清クリアランス(Cl8)とCcrの間にはCl8=1.60×Ccr+7.70の関係がみられ, 相関係数(r)は0.881であつた。 T1/2βとCcrの問にはT1/2β=31.27×Ccr-0.688, 血清中濃度曲線下面積(AUC)とCcrの間にはAUC=4,226×Ccr-0.81の関係がみられた。 投与後24時間までの尿中排泄率はI群84.4%, II群69.1%, III群67.5%, IV群56.5%とCcrの低下に伴つて低下する傾向を認めたが, Ccr<30ml/minの例でも比較的高い尿中排泄率を示した。

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