The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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肺真菌症におけるFluconazoleの治療効果
李 永浩塩田 哲広池田 貞雄桂 敦史塙 健八木 一之小鯖 覚畠中 陸郎松原 義人二宮 和子船津 武志
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1989 年 42 巻 1 号 p. 138-143

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抄録

肺真菌症10例 (原発性肺クリプトコックス症7例, 肺アスペルギルス症3例) に最近開発されたBis-triazole系の抗真菌剤であるFluconazoleを点滴静注ないしは内服投与し, その治療効果及び副作用について検討を行った。効果判定可能であったのは外科的に病巣部の完全切除が行われた肺クリプトコックス症の2例を除く8例である。肺クリプトコックス症では有効2 例, やや有効3例であった。肺アスペルギルス症ではアスペルギルス肺炎の1例に対して著効を示し, 肺アスペルギロームの2例ではやや有効1例, 無効1例であった。副作用は点滴静注投与 (9例) で嘔気・食欲不振 (3例), 発熱・体熱感 (3例), 血管痛 (1例), 下痢と発疹 (1 例) が出現したが特に重篤なものは認めなかった。経口投与ではGOT, GPT, Al-P, γ-GTPの上昇を1例に, γ-GTPの上昇を1例に認めた。臨床効果, 副作用からみてFluconazoleは原発性肺真菌症に有用であると考える。

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