The Japanese Journal of Antibiotics
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Fluconazoleの真菌感染症に対する治療効果の検討
矢木 晋渡辺 正俊中島 正光築山 邦規守屋 修日野 二郎二木 芳人副島 林造
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1989 年 42 巻 1 号 p. 144-152

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抄録

英国ファイザー社で合成された新しいトリアゾール系の抗真菌剤であるFluconazoleの治療成績を報告した。対象症例は12例あり, カンジダ感染症が8例 (カンジダ血症4例, カンジダ血症十カンジダ尿症1例, カンジダ尿症1例, 食道カンジダ症1例, カンジダ性肝膿瘍1例), 肝アスベルギルス症2例, 肺クリプトコックス症1例そして同定不能の酵母様真菌による真菌血症1例であった。真菌学的効果では11例が菌消失, 又, 残りの1例は菌減少を示し, 極めて高率に真菌の陰性化を認めた。総合臨床効果では著効2例, 有効8例, やや有効2例の成績を得, 副作用の出現はいずれの症例においても認めなかった。
Fluoonazoleは経口及び静脈内投与が可能で, 且つ血中半減期が25~30時間と長く, 組織移行性も極めて良く, 又, 一般毒性も低いため, 深在性真菌症に対して優れた臨床的有用性が期待され下いる。今回の検討でも有効率は83.3%と優れた効果が得られ, 特にカンジダ感染症に対す多有効性時高いものであった。又, 全例に副作用は認めておらず, 本剤は真菌症とりわけ深在性裏菌症に対して, 極めて高い有用性が期待される薬剤であると考えられた。

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