1989 年 42 巻 11 号 p. 2363-2376
1988年に分離したグラム陰性桿菌16菌種 (群) 575株に対するCefotetan (CTT) のMIC 分布を検討することを目的に, Cefmetazole (CMZ), Cefoxitin (CFX), Latamoxef (LMOX), Cefazolin (CEZ) を対照に加えてMICを測定し, 1980年代後半におけるセフェム耐性菌の動向を検討した。
1. CTTのMIC分布は, 供試菌種によって異なっていた。106cfu/ml接種時のMIC値≥12.5μg/mlの成績を示したCTT耐性菌の割合は, Escherichia coli, Citrobacter diversus, Klebsiella spp., Proteus spp., Providencia spp., Haemophilus influenzaeは皆無もしくは極めて低率であるが, Citrobacter freundii, Enterobacter spp., Serratia marcescens, Morganella morganiiそしてBacteroides fragilis groupのCTT耐性菌は高率である。
2. C. freundii, Enterobacter spp., S. marcescensのCTT耐性菌の多くはLMOXにも耐性であるが, これらの耐性菌は, オキシム型セファロスポリン, モノバクタムにも耐性を示す多剤耐性菌であることを考察した。
3. E. coliのセフェム耐性菌がCEZ 22%, CFX 14%, CMZ 10%, CTT 2%に確認されたが, セフェム耐性E. coliが増加傾向にあり, なお且つそれらの条件が拡大していることを述べた。
4. CTTを含むセファマイシン耐性菌の問題はβ-ラクタム系薬剤全般にわたる耐性機序と耐性菌が出現してくる社会的状況をも含む次元の問題と密接不可分な関係にあることを論じた。