The Japanese Journal of Antibiotics
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Miporamicinのラットにおける6ヵ月間混餌投与慢性毒性試験
本山 径子角 明美三浦 昌己矢野 譲次守野 豊彦松本 一彦山本 宏
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1989 年 42 巻 11 号 p. 2447-2471

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抄録

新規マクロライド系抗生物質Miporamicin (MPM) を雌雄ラットに6カ月間連続混餌投与し, その毒性を検討した。投与濃度を1,280, 3,200, 8,000, 20,000ppmとし, 投与終了後2 カ月間の回復試験も併せて行った。
1. 全試験期間を通じて死亡例はみられなかった。一般症状では眼瞼周囲炎, 加齢性変化が散見された程度であり, 特に留意すべき変化は認められなかった。
2. 体重, 摂餌・摂水量に明らかな変化はみられなかつた。
3. 検体摂取量はMPM-1,280群で雄69mg/kg/日, 雌82mg/kg/日, MPM-3,200群で雄 176mg/kg/日, 雌207mg/kg/日, MPM-8,000群で雄436mg/kg/日, 雌519mg/kg/日, MPM-20,000群で雄1,080mg/kg/日, 雌1,280mg/kg/日であった。
4. 血液及び血清生化学的検査では薬物投与に起因する変化はみられなかった。
5. 尿検査では尿量, 尿電解質あるいは浸透圧に軽度な変化がみられた。回復試験では, これらの変化はいずれも回復した。
6. 肉眼的検査では投与量に比例して盲腸肥大がみられたが, 回復試験では, この変化は回復あるいは軽減した。
7. 臓器重量では投与量に比例して盲腸重量の増加がみられたが, 回復試験では, この変化は回復あるいは軽減した。
8. 病理組織学的検査では, 自然発生病変あるいは加齢性変化以外, 薬物投与に起因する病態像は認められなかった。
9. 電子顕微鏡検査では肝臓及び腎臓とも異常は認められなかった。
10. 以上の結果, 本試験における無影響量は臓器障害のみられない20,000ppmと推定した。

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