The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児におけるCefmenoximeの基礎的並びに臨床的検討
柱 新太郎野中 千鶴藤井 良知
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1989 年 42 巻 12 号 p. 2607-2616

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抄録

1. 化膿性髄膜炎, 敗血症を含む9例の新生児細菌感染症に対して, Cefmenoxime (CMX) を1回量20~25mg/kg, 1日2~3回 (40~75mg/kg/日), 30分点滴静注した。臨床効果判定の結果, 7例が著効, 2例が無効であった。細菌学的効果判定の結果, 黄色ブドウ球菌の1例を除く8例において, 起炎菌の消失を認めた。
2. CMXを使用した18例の新生児中, 6例に副作用がみられた。その内容は下痢, 鵞口瘡, GOT, GPT, LDH, Al-Pの上昇であるが, 本剤使用中止の必要性は認めなかった。
3.16例の成熟児及び10例の低出生体重児について, 生後0~30日にCMXの血中濃度の推移を検討した。1回量20mg/kg, 30分点滴静注で, 最高血中濃度は成熟児では34.6~72.7 mcg/ml (Mean±S. D. 50.4±11.3mcg/ml), 低出生体重児では22.3~78.2mcg/ml (Mean±S. D.
55.5±16.5mcg/ml) を示した。半減期は成熟児では, 生後0~3日で1.7~20.7時間 (Mean±S. D.
5.9±6.6時間), 生後4~25日で1.1~3.5時間 (Mean±S. D. 2.0±0.8時間), 低出生体重児では, 生後0~2日で3.4~10.2時間 (Mean±S. D. 7.2±2.7時間), 生後4~30日で1.4~
5.5時間 (Mean±S. D. 3.0±1.5時間) と, 日齢の少ない程, 半減期が延長する傾向にあった。
4. Mycoplasma hominisによる化膿性髄膜炎の症例において, 急性期にCMXの髄液中濃度を測定した。1回投与量80mg/kg, 30分点滴静注にて投与した結果, 髄液中濃度は7.7~15.5mcg/mlであり, 髄液血清比は9.0%, 11.7%を示した。
5. 臨床分離株について, CMXのMICを測定した結果, 大腸菌 (3株), B群溶連菌 (2株) に対して, Cefotaximeとほぼ匹敵する優れた抗菌力を示した。しかし, 黄色ブドウ球菌 (1株) に対するMICは生菌量108cells/ml接種で25mcg/mlと悪くCefmetazoleより劣つていた。

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