The Japanese Journal of Antibiotics
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実験腎障害ラットにおけるT-3262の腎毒性試験
実験腎障害ラットに対するT-3262の腎障害増強作用の検討
永井 章夫長沢 峰子大山 進祐加賀 英俊鬼頭 暢子米田 豊昭
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1989 年 42 巻 4 号 p. 817-830

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抄録

腎障害ラットに新しい合成抗菌剤T-3262を経口投与し, 腎に対する影響を検討した。腎障害モデルとして, 塩化第二水銀による腎障害とピューロマイシン-アミノヌクレオシド (PAN) による腎障害を選んだ。これらの腎障害ラットに, T-3262の1, 000mg/kgを2日間あるいは6日間連続経口投与し, 尿検査, 血液化学検査及び病理組織学的検査により腎障害の程度を比較対照の腎障害ラヅトと比較した。
塩化第二水銀による腎障害ラットには尿中の蛋白, NAG, γ-GTP, リゾチームの増加, 血清中の尿素窒素, クレァチニンの上昇がみられ, 組織学的検査では近位尿細管を中心とする高度の障害が認められた。これらの変化はT-3262投与によって増強されなかった。
PANによる腎障害ラットには尿中の蛋白, NAG, リゾチームの増加, 血清中の尿素窒素, クレアチニンの上昇, 腎糸球体と尿細管を中心とする高度の障害が認められたが, T-3262投与による腎障害増強作用はほとんど認められなかった。

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