1989 年 42 巻 4 号 p. 800-816
T-3262 (50mg/kg) をラットに14日間静脈内投与し, その毒性をOfloxacin (OFLX, 50mg/kg), Mitomycin C (MMC, 0.5mg/kg) と比較した。
1. T-3262群では死亡例はなく, 発育は順調で, 異常な症状も観察されなかつた。血液学的検査, 血液化学検査, 骨髄検査, 眼科的検査結果, 剖検時肉眼所見に異常は認められなかった。尿検査で検体の析出と思われる結晶が10例中8例に出現した。心臓と精嚢重量が軽度減少し, 盲腸重量は増加した。病理組織学的検査で腎尿細管腔軽度拡張が7例中2例に認められた。
2. OFLX群では各検査項目に異常は認められなかった。尿検査での検体析出や腎の尿細管腔拡張はみられなかった。
3. MMC群では発育抑制, 白血球数減少, 骨髄の有核細胞数減少, 顆粒球/赤芽球 (MIE) 比上昇, 骨髄低形成が明らかに認められた。