The Japanese Journal of Antibiotics
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血液疾患に合併した重症感染症に対するCeftriaxoneの臨床効果
久山 純米沢 毅陰山 克大藪 博木谷 照夫谷口 信博正岡 徹柴田 弘俊安永 幸二郎藤竹 英樹堀内 篤長谷川 廣文川越 裕也平田 充彦永井 清保武元 良整篠原 慶希
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1989 年 42 巻 4 号 p. 930-937

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抄録

血液疾患に合併した重症感染症にCeftriaxoneを投与 (主として1回2g, 1日2回) し, 70例中著効19例, 有効19例 (有効率54.3%) であった。本剤による重篤な副作用は認められず, 安全性が確認された。
Ceftriaxone (CTRX) はスイスのF, Hoffmann-La Roche社において開発された新しい注射用セフェム系抗生物質である。
本剤の特徴は幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性並びにβ-ラクタマーゼ安定性を有する点, 血中半減期が長く各組織への移行性に優れている点などがあげられる。本邦におけるCTRXの基礎的並びに臨床的評価は第29回日本化学療法学会東日本支部総会の新薬シンポジウム1)で検討され, その有効性, 安全性が確認されると共に, 各科領域の感染症に対する有用性が報告されている。
白血病や悪性リンパ腫などの腫瘍性血液疾患においては, 疾患自体による易感染性に抗腫瘍剤投与による著しい骨髄抑制, 好中球減少が加わり, 敗血症などの重篤な感染症を合併することもまれではなく, 菌検出率が低く原因菌不明例と顆粒球減少の多いことがその特徴となつている。顆粒球減少時には抗生剤の効果も不十分であることが多く, 特に抗菌スペクトルが広く且つ抗菌力の優れた抗生剤の開発が望まれる。今回, 私共は各種血液疾患に合併した重症感染症に対するCTRXの臨床効果を検討したので, その成績を報告する。

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