The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
造血器疾患に合併した重症感染症に対するCeftriaxoneの治療効果
御供 泰治仁田 正和児玉 裕幸小林 政英池田 靖小寺 良尚松下 正小原 寛治神谷 修白川 茂南 信行片山 直之平野 正美伊藤 直也大野 竜三安達 興一山田 一正内藤 和行
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 4 号 p. 938-947

詳細
抄録

東海造血器疾患感染症研究会の9施設において, 造血器疾患に合併した重症感染症に対し, Ceftriaxone (CTRX) による治療を試み, その有用性について検討した。
86症例で評価し, 有効率は58.1%であった。そのうち単独投与が可能であった38例における有効率は73.7%であり, 1日2g以下の症例が34例(39.5%), 1日1回投与の症例が23例 (26.7%) あった。副作用は皮疹2例 (うち1例は嘔気を伴うもの), 肝機能異常3例を認めたが, 本剤との因果関係は不明であった。
以上, CTRXは血中濃度半減期が長く, 組織内移行が優れているという特徴1)が臨床面で裏付けられ, 造血器疾患に合併した重症感染症に対し有用性の高い薬剤と考えられる。
白血病を中心とする各種造血器疾患においては, 疾患自体の進行に伴う成熟好中球の減少ないしは強力な化学療法のために生ずる好中球の減少のいずれにおいても, 重篤な感染症を伴うことが多く, しばしぼ死亡の直接原因となつている。従つて基礎疾患の治療成績向上のためにも, これら重症感染症に対する対策の意義は大きいと言える。
今回我々は東海造血器疾患感染症研究会において, 造血器疾患に合併した感染症に対してロシュ社 (スイス) で開発され, これまでのセフェム系抗生物質に比べて血中濃度半減期の長いことを特徴とする新しいセフェム剤であるCeftriaxone (CTRXロセフィγreg;) を用いて治療を試み, 臨床効果及び有用性等について検討したので, その結果を報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top