The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefodizimeの基礎的, 臨床的検討
中尾 吉邦竹内 秀俊木村 宏石川 秀樹早川 文雄久野 邦義
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1336-1345

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抄録

新しいセフェム系抗生物質であるCefodizime (CDZM, THR-221) につき, 基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1. Streptococcus pneumoniae, Branhamella catarrhalis, Echerichia coli, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzaeの当小児科臨床分離株に対するCDZMの抗菌力 (MIC) を, Cefotaxime (CTX), Cefotlam, Cefazolin, Piperacillinと比較した。S. pneumoniaeではほぼ他剤と同様の抗菌力を示した。B. catarrhalis, E. coli, H. influenzae, H. parainfluenzaeでは, CTXと同等で他の3剤よりも優れた抗菌力を示した。特に, H. influenzaeに対しては著明であった。
2. CDZM 20mg/kg投与時の血清中, 尿中濃度の推移をみた。症例は2例で, 投与後15分の平均血清中濃度は116μg/ml (High perfbmance liquid chromatography (HPLC) 法) で, 30分値92.9μg/ml, 1時間値77.9μg/ml, 2時間値50.8μg/ml, 4時間値26.0μg/ml, 6時間値12.7μg/ml, 8時間値7.5μg/mlであり, T1/2は平均2.06時間であった。尿中濃度の推移と尿中排泄率の結果では, 平均48.5%が, 0~4時間で排泄され0~8時間では平均60.1%が排泄された。
3. 19例の小児細菌感染症 (肺炎9例, 急性気管支炎3例, 頸部リンパ節炎1例, 扁桃腺炎2例, 尿路感染症4例) に, CDZM 60~90mg/kg/日を1日3回に分けて投与し, 94.7%の有効率を得た。
4.副作用調査では, 19例中すべて問題となるような副作用の出現は認められなかつた。投与前後の臨床検査成績では, 2例に血小板増加を, 1例に好酸球増多, 1例にGOT, GPTの一過性上昇を認めたが, いずれも軽度であった。

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