The Japanese Journal of Antibiotics
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42 巻, 6 号
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  • 永沢 善三, 西村 忠隆, 南雲 文夫, 植田 寛, 只野 寿太郎, 加藤 収, 山田 穂積
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1257-1270
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    佐賀医科大学附属病院検査部では, 1984年9月から日常の薬剤感受性試験に日本化学療法学会標準法の寒天平板希釈法1) と相関性の高い2~4) 微量液体希釈法であるMIC-2000システムを使用し, 各種臨床材料から得られる病原性の高い菌種に対するMIC値をルーチン検査で測定している。今回, 我々は1987年5月から1988年3月までの10カ月間の成績をもとに, Aztreonam (AZT) の抗菌力の解析を行い, 以下の成績を得た。
    1. AZTはEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus sp., Haemophilus influenzaeに対しMIC80で0.20μg/ml以下と優れた抗菌力が認められた。
    2. Enterobacter aerogenes, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Serratia marcescensでは, 比較したセフェム系抗生物質と比べるとAZTの抗菌力は優れていたが, 他剤と同様に感受性株と耐性株の2峰性分布を示した。
    3. AZTはPseudomonas aeruginosaに対し, MIC5012.5μg/ml, MIC8025μg/mlとその抗菌力は弱かつた。
    4. Acinetobacter sp., Xanthomonas maltophiliaについては, AZTの抗菌力は認められなかつた。
  • 川崎 平八郎
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1271-1278
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (以下AZTと略す) はグラム陰性菌に対し優れた抗菌力を有するMonobactam系の抗生物質である。1984年来, 小児科領域においてもその基礎的, 臨床的評価が報告されている。我々は小児の感染症患者を対象にAZTの点滴静注による治療を行い良好な成績を納めたが, その際, 測定した血中濃度から薬物動力学的解析を行つた。これらのパラメータを基礎にして, Computerの支援の基に, 更に適切なAZTの投与量, 投与時間を解析した。
    AZTの薬物動態の各々の平均値 (n=9) は次のとおりであつた。すなわち, 消失速度定数Kel=0.67±0.15hr-1, 分布容積Vd=4.29±1.66L, 生体内半減期T1/2=1.08±0.23時間であり, クリアランスCl=0.17±0.12L/kg/hrであつた。
    次に, これらの指標に基づいてAZTの投与量を検討した結果, 小児では, 80~130mg/kg/日の投与量で, ほとんどの感染症に対して十分に有効な血中濃度が得られることを述べた。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 山本 初実, 小林 裕
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1279-1285
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefodizime (THR-221, CDZM) の髄液中移行をStaphylococcus aureus髄膜炎家兎モデルを用いて検討した。
    本剤100mg/kg静注後15分の血清中濃度は, 1/15M燐酸緩衝液 (PBS) standardで195±18.3μg/ml, 家兎血清standardで474±22.0μg/ml, 髄液中濃度は, 平均では60分にピークがあり, 8.74±2.16μg/mlであつた。この推移曲線から求めたPharmacokinetic parameterは, PBS standard, 家兎血清standardの順に, Cmax髄液血清比百分率4.48%, 1.84%, AUC髄液血清比百分率15~60分6.15%, 2.02%, 15~120分10.6%, 3.00%, 15~180分13.4%, 3.48%, 髄液中濃度T1/2はいずれも141分, T1/2髄液血清比それぞれ3.27, 2.11であつた。
    別の家兎で, 除蛋白して総濃度を測定したHigh performance liquid chromatography法での値は, 家兎血清standardでの値に近似していた。
    PBS standardの値を同様な方法で得た他のβ-Lactam剤の値と比較すると, 本剤は23剤中第9位で, 比較的良好であり, 髄膜炎主要菌種に対する抗菌力と考え合せて, 髄膜炎に対する臨床応用を試みる価値ありと考えられた。
  • 大倉 完悦, 春田 恒和, 小林 裕
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1286-1292
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus aureus髄膜炎家兎を用いて, Cefodizime (THR-221, CDZM), Ampici11in (ABPC) 同時投与時の髄液中移行を検討した。CDZM100mg/kg単独静注群 (6羽), ABPC100mg/kg単独静注群 (4羽), 両剤各100mg/kg同時静注群 (5羽) において, 静注後15, 30, 45, 60, 90, 120, 180分に血液, 髄液を採取し, High performance liquid chromatography法にて各薬剤濃度を測定, それに基づいてPharmacokinetic parameterを算出, 群間の比較を行つたところ, 有意差は認められず, この両剤は同時投与しても相互の髄液中移行に悪影響はないと考えられた。
    従つてCDZMは化膿性髄膜炎の初回化学療法剤の候補となり得るので, 今後検討を進める価値ありと考えられた。
  • 有益 修, 目黒 英典, 比留間 藤昭, 杉江 信之, 阿部 敏明
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1293-1305
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    27例の細菌感染症の小児においてCefodizime (THR-221, CDZM) を使用し, 96.3%に有効以上の成績が得られた。有効疾患は化膿性髄膜炎, 敗血症, 肺膿瘍, 肺炎, 気管支肺炎, 急性咽頭炎, 尿路感染症, 頚部リンパ節炎及び頭血腫部膿瘍などであつた。有効菌種はStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae, Citrobacter freundii, Escherichia coli, Branhamella catarrhalisで除菌率は92.3%であつた。
    副作用として, 27例中4例に下痢を認め, 検査値で4例にトランスアミナーゼ上昇又は1例に一過性好酸球増多を認めた。
    血中CDZMの半減期は1.75~1.88時間であり, 髄膜炎例では十分治療可能な髄液中移行が得られた。
    以上から, CDZMは小児科領域の化膿性髄膜炎を含めた細菌感染症に対して有用な薬剤であると思われた。
  • 佐藤 肇, 成田 章, 松本 貴美子, 中澤 進一, 鈴木 博之, 中西 好子, 新納 憲司, 中澤 進
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1306-1321
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい注射用Cepbem系抗生物質Cefodizimeについて, 基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 血清中濃度及び尿中排泄については, 10mg/kg (1例), 20mg/kg (4例), 40mg/kg (1例) 60分点滴静注を行い検討した。
    血清中濃度のピーク値は1時間値で10mg/kgでは66.3μg/ml, 20mg/kgでは平均118.1μg/ml, 40mg/kgでは259.2μg/mlであり, Dose responseがみられた。T1/2 (β相) は1.17~1.69時間であつた。
    尿中回収率は0~8時間までに71.5~98.0%であつた。
    2. 髄液中濃度は化膿性髄膜炎児に433mg静注時の投与後15分の血清中濃度は380.67μg/ml, 髄液中濃度0.76μg/mlであつた。
    3. 臨床効果では化膿性髄膜炎1例, 呼吸器感染症10例, 百日咳3例, 尿路感染症5例, 化膿性軟部組織感染症1例, 左急性甲状腺炎1例の計21例に対して有効率95.2%であつた。
    副作用として1例に下痢, 臨床検査値異常例としてGOT・GPT及びGOTの軽度上昇が各々1例ずつ認められたが, その他異常所見は認められなかつた。
  • 中村 はるひ, 宮津 光伸, 笠井 啓子, 岩井 直一, 種田 陽一
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1322-1335
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるCefodizimeの基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 吸収, 排泄
    3~12歳の小児7例に本剤20mg/kgをOne shot静注し, その際の血清中濃度及び尿中排泄について検討を行った。
    平均血清中濃度推移は1/2時間値が平均119.27±13.83μg/mlで, その後2.01±0.25時間の半減期でもつて漸減し, 6時間値は10.56±2.93μg/mlであった。一方, 6時間までの尿中排泄は平均77.34±12.60%であった。
    2. 臨床
    2カ月から15歳までの小児39例に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    臨床効果の判定対象となった急性化膿性扁桃炎2例, 急性肺炎30例, 急性化膿性中耳炎1例, 急性尿路感染症2例の計35例に対する臨床効果は, 著効29例, 有効5例, 無効1例であり, 有効率は97.1%であった。なお, 原因菌と推定されたStreptococcus pneumoniae3株, β-Streptococcus 1株, Staphylococcus epidermidis1株, Haemohpilus influenzae9株 (β-Lactamase産生株1株, 非産生株8株), Enterococcus faecalis 1株に対する細菌学的効果は, E. faecalis1株が減少であつた以外はすべて消失であり, 全株でみた除菌率は93.3%であった。
    更に, 副作用は臨床上では全例に認められず, 臨床検査値異常としてはGOTの上昇が1例, GOT及びGPTの上昇が1例, 好酸球増多が1例, 血小板増多が1例に認められただけであった。
    以上の成績及び本剤の特長から小児期の重症感染症に対して本剤が優れた有用性を示す薬剤であることが確認され, 又, 特に免疫抑制下における感染症に対しても優れた治療効果を持つことが考えられた。
  • 中尾 吉邦, 竹内 秀俊, 木村 宏, 石川 秀樹, 早川 文雄, 久野 邦義
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1336-1345
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生物質であるCefodizime (CDZM, THR-221) につき, 基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. Streptococcus pneumoniae, Branhamella catarrhalis, Echerichia coli, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzaeの当小児科臨床分離株に対するCDZMの抗菌力 (MIC) を, Cefotaxime (CTX), Cefotlam, Cefazolin, Piperacillinと比較した。S. pneumoniaeではほぼ他剤と同様の抗菌力を示した。B. catarrhalis, E. coli, H. influenzae, H. parainfluenzaeでは, CTXと同等で他の3剤よりも優れた抗菌力を示した。特に, H. influenzaeに対しては著明であった。
    2. CDZM 20mg/kg投与時の血清中, 尿中濃度の推移をみた。症例は2例で, 投与後15分の平均血清中濃度は116μg/ml (High perfbmance liquid chromatography (HPLC) 法) で, 30分値92.9μg/ml, 1時間値77.9μg/ml, 2時間値50.8μg/ml, 4時間値26.0μg/ml, 6時間値12.7μg/ml, 8時間値7.5μg/mlであり, T1/2は平均2.06時間であった。尿中濃度の推移と尿中排泄率の結果では, 平均48.5%が, 0~4時間で排泄され0~8時間では平均60.1%が排泄された。
    3. 19例の小児細菌感染症 (肺炎9例, 急性気管支炎3例, 頸部リンパ節炎1例, 扁桃腺炎2例, 尿路感染症4例) に, CDZM 60~90mg/kg/日を1日3回に分けて投与し, 94.7%の有効率を得た。
    4.副作用調査では, 19例中すべて問題となるような副作用の出現は認められなかつた。投与前後の臨床検査成績では, 2例に血小板増加を, 1例に好酸球増多, 1例にGOT, GPTの一過性上昇を認めたが, いずれも軽度であった。
  • 駒田 美弘, 荒井 祥二朗, 神谷 齊, 櫻井 實, 清水 信, 西 英明, 井上 正和, 小島 當三, 川口 寛, 吉住 完
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1346-1357
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症34例にCefodizimeを使用し, 30例にて臨床的有効性の検討を行つた。有効率90.0%の成績が得られ, 小児科領域の感染症に対しても有効性の高い抗生物質と考えられた。又, 本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して, 強い抗菌力を有しており, 副作用に関しても著しいものは認められなかった。
  • 望月 康弘, 秦 大資, 大久保 秀夫, 吉田 晃, 上野山 裕巳, 津田 英夫, 中戸 秀和, 真弓 光文, 三河 春樹
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1358-1365
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規セフェム系注射用抗生物質Cefodizime (THR-221, CDZM) について臨床的検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. 本剤1日54.5~84.2mg/kgを3~4回に分け, 静注又は30分かけて点滴静注した20例 (急性扁桃炎7例, 肺炎6例, 頚部化膿性リンパ節炎2例, 気管支炎2例, 急性咽頭炎1例, 急性腸炎1例, 多発性節1例) に対する臨床効果は著効7例, 有効11例, やや有効2例で有効率は90%であった。
    2. 本剤のMIC分布は, Haemophilus influenzae 7株に対しては, すべて0.025μg/ml以下であり, Streptococcus pneumoniae 5株のうち1株は0.05μg/mlであり, 2株は0.10μg/ml, 他の2株は0.20μg/mlであった。Staphylococcus aureus 3の3株中1株はL56μg/mlであったが, 他の2株はそれぞれ25μg/ml及び≥100μg/mlと耐性を示した。
    3. 臨床症状としての副作用を認めた症例はなかつた。臨床検査値では, 赤血球数,血色素量に異常を認めた症例はないが, 2例で好酸球増多がみられ本剤との関係が疑われた。1例においてS-GOTが軽度に上昇した。他の1例においてもS-GOT, S-GPTが上昇したが投与中止後改善しており本剤によるものと思われた。
    4. 本剤は小児の急性気道感染症の第1選択剤として有用な抗生物質であると思われた。
  • 平林 洋一, 東野 博彦, 木野 稔, 登 美, 岡崎 仁志, 北村 直行, 小林 陽之助
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1366-1380
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephalosporin系の抗生物質であるCefodizime (CDZM, THR-221) について, 基礎的及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 抗菌力
    当科臨床分離株に対するCDZMのMICはStreptoccus pneumoniae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae各1株に対して0.05μg/ml0~0.10μg/mlであつた。Haemophilus influenzaeに対しては, 測定した6株すべてのMICが≤0.024μg/mlと, Cefotaxime, Cefotiam, Cefazolin, Piperacillinに比較して, 最も優れた抗菌力を示した。
    2. 吸収・排泄
    CDZM 20mg/kgを60分間点滴静注した1例において, その血中濃度のピーク値207・80μg/mlは点滴静注終了時にみられ, 半減期は2.15時間であつた。尿中排泄率は30分点滴静注終了後4時間までの1例が68.5%, 6時間までの2例の平均が79.2%, 8時間までの2例の平均が76.5%であった。
    3. 臨床成績
    肺炎13例, 気管支炎1例, 急性咽頭炎2例, 化膿性扁桃炎1例, 尿路感染症5例, 逆行性胆道炎1例, 急性腸炎1例, 歯根膜炎1例, 蜂窩織炎1例, 鼠径リンパ節炎1例の合計27例について検討し, CDZMの臨床効果は著効5例, 有効17例で有効率は81%であつた。起炎菌の消長を確認できた症例は13例で, 菌消失率は85%であった。なお, 臨床検査値異常として, GOT, GPT, Al-P, LAP, γ-GTPの上昇が28例中1例に認められた。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 松田 直, 小林 裕
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1381-1384
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症13例を新注射用Cephem系抗生物質Cefodizime (THR-221, CDZM) 1回20mg/kg前後1日3回静注で治療し, 以下の成績を得た。
    1. マイコプラズマ肺炎3例を除く10例 (蜂巣炎2例, 肛門周囲膿瘍1例, 肺炎5例, 気管支炎2例) に対する臨床効果は, 著効4例, 有効6例で, 無効例はなかつた。
    2. 起炎菌の消長を追跡できた3例 (蜂巣炎1例Streptococcus pyogenes, 肛門周囲膿瘍1例Klebsiella pneumoniae, 気管支炎1例Haemophilus influenzae) では, 起炎菌はすべて消失した。
    3. 臨床症状としての副作用は全く認められず, 検査値異常として, 好酸球増加が2例, GOT, GPT及び血小板数上昇が1例にみられたが, 重大なものではなかった。
  • 横田 一郎, 武田 英二, 黒田 泰弘
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1385-1390
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 新しく開発されたセフェム系抗生物質であるCefodizime (THR-221, CDZM) について小児科領域における臨床的検討を行つた。
    2. 扁桃炎2例, 気管支炎1例, 肺炎8例, 皮膚軟部組織炎1例, 尿路感染症1例, 合計13 例について検討した結果, 著効8例, 有効4例, 無効1例であり, 有効率は92.3%で, 菌消失率は83.3%であった。
    3. 副作用としては, 血清GPTの一過性上昇と好酸球増多とが各1例にみられただけであり, 本剤は小児科領域における細菌感染症に対して有用性の高い抗生物質と考えられた。
  • 関口 隆憲, 岡本 喬, 大原 克明, 幸山 洋子, 西森 緑, 宮崎 雅仁
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1391-1398
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefodizime (CDZM, THR-221) を20例の小児急性細菌感染症に静注投与した。
    症例の内訳は扁桃炎, 気管支炎, 頸部化膿性リンパ節炎, 尿路感染症各2例, 肺炎12例であつた。
    臨床効果は20例中18例が著効又は有効で, 有効率90.0%であった。細菌学的効果は5株で検討でき, 5株すべてが消失し, 消失率は100%, 本剤のMICはCefotaxime (CTX), Cefotiam, Cefazolinに比ベグラム陽性菌に対しては少し劣るが, グラム陰性菌に対してはCTX とほぼ同等であった。
    副作用は好酸球増多が1例みられた。
  • 新野 正治, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1400-1413
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cofodizime (CDZM, THR-221) の小児における体内動態及び小児期細菌感染症30例に対する有効性, 安全性を検討し下記の成績を得た。
    1. 小児6例にCDZM20mg/kgを静注した時の血清中濃度の半減期は高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で120.9分, Bioassay法で115.6分であった。投与後8時間までの尿中回収率はHP-C法で74.7%, Bioassay法で75.0%であった。
    2. 呼吸器感染症22例, 尿路感染症2例, 腸炎2例, リンパ節炎2例, 歯周囲炎1例に対するCDZMの臨床効果は著効13例, 有効13例, やや有効3例で, 有効率89.7%であった。
    3. 分離された起因菌10株 (7例) に対するCDZMの細菌学的効果の検討では, 細菌消失率は60%であった。分離菌別臨床効果は全例が有効以上で, 100%の有効率を示した。
    4. CDZMの副作用としては, 軽度の下痢が1例だけで, 検査値異常として3例に軽度の好酸球増多がみられた。
    以上の結果から, CDZMは小児期細菌感染症に有用且っ安全な抗生物質と考えられた。
  • 脇口 宏, 岡田 泰助, 河合 加与子, 久川 浩章, 三崎 泰志, 山口 結花, 野村 伊知郎, 久保 田晴郎, 友田 隆士, 浜田 文彦 ...
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1414-1423
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用セフェム系抗生物質のCefodizime (CDZM, THR-221) による各種小児感染症の治療及び体内動態に関する検討を試み, 以下の結果を得た。
    疾患別有効率は肺炎3例/3例 (100%), 気管支炎5例/5例 (100%), 上気道炎3例/4例 (75%), 喉頭炎1例/1例, 溶連菌感染と伝染性膿痂疹の合併例1例/1例で, 全体としては13例/14例 (92.9%) であった。
    副作用は1例にアレルギーによると思われる発疹・瘴痒感, GPTの上昇が1例にみられたが腎機能障害ほみられなかった。
    1例で, 薬剤の血中濃度の推移並びに尿中排泄量を測定し, 血中半減期ばBioassay法で 124.5分, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で143.4分であった6注射後8時間の尿中排泄率はBioassay法で62.9%, HPLC法で65.4%であった。
    CDZMは小児期の各種感染症に有効且つ副作用が少ないことから, 臨床上, 安全で有用な抗生物質であると考えられた。
  • 柳島 正博, 楊井 正紀, 柳 忠道, 辻 芳郎, 今村 甲, 中山 紀男
    1989 年 42 巻 6 号 p. 1424-1435
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セフェム系抗生物質Cefodizimeについて基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1. 吸収, 排泄は10mg/kg 30分点滴静注1例, 20mg/kg One shot静注2例, 40mg/kg 30分点滴静注2例の計5例で検討した。血清中濃度のピークは, いずれも点滴静注あるいは One shot静注終了直後にあり, Cmaxは10mg/kgでは119.2μg/ml, 20mg/kgでは374.9, 255.7μg/ml, 40mg/kgでは321.3, 431.8μg/mlであつた (高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法)。HPLC法とBioassay法との比較では, 全般にBioassay法の方が高値を示す傾向があつた。
    T 1/2 (β) は1.74~1.93時間 (HPLC法), 1.77~2.24時間 (Bioassay法) であつた。尿中回収率を上記5例のうち3例で検討した。本剤投与終了後0~8時間までの累積尿中回収率は 57.9~90.6% (HPLC法), 50.4~88.0% (Bi0assay法) であつた。
    2. 臨床効果では呼吸器感染症14例, 尿路感染症5例, 蜂窩織炎3例の計22例について検討し有効率は95.2%であつた。細菌学的効果では, 菌消失率は90.0%であつた。副作用として口角炎, 下痢, 軟便がそれぞれ1例ずつ認められた。臨床検査値異常としてGPT上昇, GOT・ GPT上昇が1例ずつ認められた。
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