The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefoizimeの小児科領域における基礎的, 臨床的検討
中村 はるひ宮津 光伸笠井 啓子岩井 直一種田 陽一
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1322-1335

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抄録

小児科領域におけるCefodizimeの基礎的, 臨床的検討を行つた。
1. 吸収, 排泄
3~12歳の小児7例に本剤20mg/kgをOne shot静注し, その際の血清中濃度及び尿中排泄について検討を行った。
平均血清中濃度推移は1/2時間値が平均119.27±13.83μg/mlで, その後2.01±0.25時間の半減期でもつて漸減し, 6時間値は10.56±2.93μg/mlであった。一方, 6時間までの尿中排泄は平均77.34±12.60%であった。
2. 臨床
2カ月から15歳までの小児39例に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
臨床効果の判定対象となった急性化膿性扁桃炎2例, 急性肺炎30例, 急性化膿性中耳炎1例, 急性尿路感染症2例の計35例に対する臨床効果は, 著効29例, 有効5例, 無効1例であり, 有効率は97.1%であった。なお, 原因菌と推定されたStreptococcus pneumoniae3株, β-Streptococcus 1株, Staphylococcus epidermidis1株, Haemohpilus influenzae9株 (β-Lactamase産生株1株, 非産生株8株), Enterococcus faecalis 1株に対する細菌学的効果は, E. faecalis1株が減少であつた以外はすべて消失であり, 全株でみた除菌率は93.3%であった。
更に, 副作用は臨床上では全例に認められず, 臨床検査値異常としてはGOTの上昇が1例, GOT及びGPTの上昇が1例, 好酸球増多が1例, 血小板増多が1例に認められただけであった。
以上の成績及び本剤の特長から小児期の重症感染症に対して本剤が優れた有用性を示す薬剤であることが確認され, 又, 特に免疫抑制下における感染症に対しても優れた治療効果を持つことが考えられた。

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