The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefodizimeの臨床的検討
望月 康弘秦 大資大久保 秀夫吉田 晃上野山 裕巳津田 英夫中戸 秀和真弓 光文三河 春樹
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1358-1365

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抄録

新規セフェム系注射用抗生物質Cefodizime (THR-221, CDZM) について臨床的検討を行い, 以下の結論を得た。
1. 本剤1日54.5~84.2mg/kgを3~4回に分け, 静注又は30分かけて点滴静注した20例 (急性扁桃炎7例, 肺炎6例, 頚部化膿性リンパ節炎2例, 気管支炎2例, 急性咽頭炎1例, 急性腸炎1例, 多発性節1例) に対する臨床効果は著効7例, 有効11例, やや有効2例で有効率は90%であった。
2. 本剤のMIC分布は, Haemophilus influenzae 7株に対しては, すべて0.025μg/ml以下であり, Streptococcus pneumoniae 5株のうち1株は0.05μg/mlであり, 2株は0.10μg/ml, 他の2株は0.20μg/mlであった。Staphylococcus aureus 3の3株中1株はL56μg/mlであったが, 他の2株はそれぞれ25μg/ml及び≥100μg/mlと耐性を示した。
3. 臨床症状としての副作用を認めた症例はなかつた。臨床検査値では, 赤血球数,血色素量に異常を認めた症例はないが, 2例で好酸球増多がみられ本剤との関係が疑われた。1例においてS-GOTが軽度に上昇した。他の1例においてもS-GOT, S-GPTが上昇したが投与中止後改善しており本剤によるものと思われた。
4. 本剤は小児の急性気道感染症の第1選択剤として有用な抗生物質であると思われた。

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