The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefodizimeの基礎的, 臨床的検討
平林 洋一東野 博彦木野 稔登 美岡崎 仁志北村 直行小林 陽之助
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1366-1380

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抄録

新しいCephalosporin系の抗生物質であるCefodizime (CDZM, THR-221) について, 基礎的及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. 抗菌力
当科臨床分離株に対するCDZMのMICはStreptoccus pneumoniae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae各1株に対して0.05μg/ml0~0.10μg/mlであつた。Haemophilus influenzaeに対しては, 測定した6株すべてのMICが≤0.024μg/mlと, Cefotaxime, Cefotiam, Cefazolin, Piperacillinに比較して, 最も優れた抗菌力を示した。
2. 吸収・排泄
CDZM 20mg/kgを60分間点滴静注した1例において, その血中濃度のピーク値207・80μg/mlは点滴静注終了時にみられ, 半減期は2.15時間であつた。尿中排泄率は30分点滴静注終了後4時間までの1例が68.5%, 6時間までの2例の平均が79.2%, 8時間までの2例の平均が76.5%であった。
3. 臨床成績
肺炎13例, 気管支炎1例, 急性咽頭炎2例, 化膿性扁桃炎1例, 尿路感染症5例, 逆行性胆道炎1例, 急性腸炎1例, 歯根膜炎1例, 蜂窩織炎1例, 鼠径リンパ節炎1例の合計27例について検討し, CDZMの臨床効果は著効5例, 有効17例で有効率は81%であつた。起炎菌の消長を確認できた症例は13例で, 菌消失率は85%であった。なお, 臨床検査値異常として, GOT, GPT, Al-P, LAP, γ-GTPの上昇が28例中1例に認められた。

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