The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefteram pivoxil細粒による小児感染症の治療成績
我妻 義則高瀬 愛子福島 直樹石川 丹高橋 聡
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1989 年 42 巻 8 号 p. 1735-1744

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抄録

Cefteram pivoxil (CFTM-PI) 細粒を試用した結果, 次の成績を得た。小児の感染症治療に有用な薬剤であると考えられる。
1.9~15歳の7例 (男児5例, 女児2例) において本剤の吸収, 排泄の検討を行った。
(1) 3mg/kg/dose空腹時内服した2例では, 最高血清中濃度は内服後2時間でそれぞれ0.66μg/ml, 0.53μg/mlであり, T1/2は1.4, 1.32時間であった。又, この2例での8時間の尿中排泄率はそれぞれ5.8%, 10.8%と比較的低かった。
(2) 6mg/kg/dose空腹時内服の1例での血清中濃度のピークは内服後2時間にあって, 3.0μg/mlであった。T1/2は2.16時間と計算された。尿中排泄率は8時間で13.8%であった。
6mg/kg/dose食後内服の2例では血清中濃度のピークは内服後4時間にあって, それぞれ5.8μg/ml, 2.5μg/mlであり, M. N. 例でのT1/2は1.93時間であった。又, 8時間における尿中回収率は27%, 14.4%であった。
(3) 150mgの錠剤を食後に内服した2例においては血清中濃度のピークは2時間と4時間にあってそれぞれ1.7μg/ml, 1.6μg/mlであり, T. T. 例のT1/2は1.38時間と計算された。8時間の尿中排泄率はそれぞれ24.1%, 15.5%であった。
2. 臨床治療成績
外来, 入院患児18例にCFTM-PI細粒を投与して次の成績を得た。
(1)3カ月から12歳に至る12例 (男児6例, 女児6例) に10mg/kg/日, 分3で投与した。
気管支肺炎1例やや有効, 気管支炎3例有効, 扁桃腺炎, 咽頭炎4例有効, 猩紅熱1例著効, 1例有効, 尿路感染症2例中1例で有効, 1例無効であった。
(2) 6歳と7歳の6例 (男児4例, 女児2例) に20mg/kg/日, 分3で投与した。気管支肺炎1例有効, 気管支炎2例有効, 咽頭炎, 扁桃腺炎3例有効の成績を得た。
(3) 分離菌Haemophilus influenzae 4株中4株は消失, Streptococcus pyogenes 4株中1株は細菌学的効果不明で3株は消失し, Escherichia coli 1株は消失, 尿路感染症からKlbsiella pneumoniaeの1株は不変であった。
3. 本剤の内服を拒否した症例は1例もなかった。副作用は認めるべきものがなかった。

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