The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児期における経口抗生物質についての薬動力学的検討 (第2報)
小児期におけるCefteram pivoxilについての薬動力学的検討
中村 はるひ岩井 直一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 9 号 p. 1981-2003

詳細
抄録

小児におけるCefteram pivoxil (CFTM-PI) の小児用細粒剤, 及び低用量錠剤について, 吸収排泄を検討すると共に, 薬動力学的解析を加えた。
1. 食事の影響をみた学童12例の同一症例における細粒剤の3mg/kg食前30分及び食後 30分服用後の検討では, 前者のTmaxは1.3±0.1時間, Cmaxは1.35±0.11μg/ml, T1/2は 1.21±0.07時間, 尿中回収率は13.4±1.5%で, 後者ではそれぞれ2.9±0.3時間, 1.08± 0.09μg/ml, 1.72±0.26時間, 23.3±2.2%であり, 食前投与の方がTmaxが早く, Cmaxは高かったが, 尿中回収率については食後投与の方が高く, 食事による影響がみられた。
2. 用量依存性をみた学童6例の同一症例における細粒剤の3mg/kg及び6mg/kg食後30 分服用後の検討では, 前者のCmaxは1.50±0.26μg/ml, 後者では2.58±0.29μg/mlであり, 両者の推移には明らかなDose responseが認められた。
3. 年齢による差異をみた学童18例, 幼児10例, 乳児6例における細粒剤の食後30分服用後の検討では, Tmaxは学童, 幼児, 乳児でそれぞれ2.8±0.3時間, 3.4±0.3時間, 2.0± 0.4時間であり, 乳児では若干早く得られる傾向がみられた。又, Cmaxについてはそれぞれ 1.22±0.11μg/ml, 1.03±0.12μg/ml, 0.94±0.15μg/mlであり, 学童, 幼児, 乳児の順に高い傾向がみられた。T1/2は各年齢層とも似た値をとったが, 学童において若干長い傾向にあった。更に尿中回収率については, 学童, 幼児, 乳児で各々21.5±1.8%, 19.3±2.0%, 7.6±0.1%であり, 乳児において明らかに低い値を示した。
4. 小児用細粒剤と低用量錠剤の差異をみた学童6例, 及び3例の同一症例における4.0±0.2mg/kg食前30分及び5.2±0.4mg/kg食後30分服用後の成績では, 両剤形のTmaxは前者においてはほとんどかわらなかったが, 後者では細粒剤において若干遅れる傾向がみられた。Cmaxについては, 食前投与では細粒剤が1.30±0.25μg/ml, 錠剤が1.93±0.21μg/ml, 食後投与では各々1.93±0.27μg/ml, 2.77±0.5μg/mlであり, いずれにおいても錠剤の方が高い傾向が得られた。又, T1/2については, 食前投与, 食後投与共に, 両剤形に大きい差はみられなかった。更に尿中回収率については, 食前投与では細粒剤が11.4±2.5%, 錠剤が15.7±2.1%, 食後投与では各々20.7±2.9%, 29.7±9.0%であり, いずれにおいても錠剤の方が高い傾向があった。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top