The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefteram pivoxilの臨床評価
岩井 直一中村 はるひ種田 陽一宮津 光伸笠井 啓子
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1989 年 42 巻 9 号 p. 1963-1980

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抄録

新しく製剤化されたCefteram pivoxil (CFTM-PI, T-2588) の小児用細粒剤の小児期感染症における有効性並びに安全性について検討した。
6カ月から14歳3カ月にわたる小児期感染症60例に対し, 本剤の3.2~9.9mg/kgを1 日3回, 3~11日間投与した際の臨床効果は急性咽頭炎3例はすべて著効, 急性化膿性扁桃腺炎21例は著効14例, 有効5例, 無効2例, 急性気管支炎3例は著効1例, 有効2例, 急性肺炎24例は著効16例, 有効8例, 急性尿路感染症4例は著効3例, 有効1例, 急性化膿性リンパ節炎2例はいずれも著効であり, 評価の対象となった57例に対する有効率は 96.5%と優れていた。
又, 原因菌と考えられた細菌に対する細菌学的効果については, Streptococcus Pyogenes9株, Streptococcus pneumoniae3株, Haemophilus influenzae19株 (β-Lactamase産生株7株, 非産生株12株), Haemophilus parainfluenzae1株 (β-Lactamase産生株), Escherichia coli 4株 (β-Lactamase産生株1株, 非産生株3株) はS. Pyogenes1株が減少であった以外は消失と判定され, 除菌率は97.2%と優れたものであった。
副作用は臨床的には3例に下痢, 1例に軟便がみられたが, いずれも軽度であり, 投与を継続することが可能であった。又, 臨床検査値異常については, 1例にGOTの上昇, 1例に血小板増多とGPTの上昇がみられた。なお, 服用拒否, 困難を訴えた症例は全くなかった。
以上の成績から, 本剤は小児期においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。

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