1990 年 43 巻 1 号 p. 81-88
呼吸器感染症81例に対してCefteram pivoxil (CFTM-PI) を使用し, 以下の臨床成績を得た。患者の内訳は咽喉頭炎4例, 扁桃炎5例, 急性気管支炎26例, 肺炎13例, 慢性気管支炎10例, びまん性汎細気管支炎1例, 気管支拡張症14例, 慢性呼吸器疾患の二次感染8例であつた。肺結核症, 肺癌などの基礎疾患を有するものが43例あった。CFTM-PIは1回200mgを1日3回経口投与した。投薬日数は3日から62日で平均13.7日 (平均投薬量8.2g) であった。
臨床効果は著効18例, 有効50例, やや有効7例, 無効6例であり, 有効率は84.0%であった。副作用は効果判定から除外された注射用抗生剤併用の4例と対象外疾患2例, 1日投与量不足5例を加えた計92例において検討し, 嘔気・嘔吐2例, 下痢1例, めまい1例, 発熱1例, GOT・GPTの軽度上昇4例, 総ビリルビン値軽度上昇1例をみたが, いずれも投与中止により消失した。
以上からCFTM-PIは経口用エステル型セフェム系抗生物質として優れており, 軽症, 中等症の呼吸器感染症に対して有用な薬剤であると考えられる。