The Japanese Journal of Antibiotics
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Ceftibutenの泌尿器科領域における臨床的検討
橋本 博山口 聡八竹 直
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1990 年 43 巻 2 号 p. 355-361

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抄録

新しい経口用セフェム系抗生物質Ceftibuten (7432-S, CETB) を9例の慢性複雑性尿路感染症と10例の細菌性前立腺炎の計19例に投与し, 臨床効果と安全性にっぃて検討を行つた。
対象とした疾患の内訳は慢性複雑性膀胱炎8例, 慢性複雑性腎孟腎炎1例, 急性細菌性前立腺炎4例, 慢性細菌性前立腺炎6例であり, 基礎疾患としては, 慢性尿路感染症では前立腺肥大症, 腎結石, 尿道狭窄, 前立腺癌であった。一方, 前立腺炎では前立腺肥大症, 副睾丸炎, 尿道下裂を合併症としていた。
薬剤の投与方法は複雑性尿路感染症, 前立腺炎共に1回200mg (2カプセル) を1日2回の経口投与が主体であり, 一部1日3回の600mgで投与し, その投与期間は1週間から最長4週間投与であった。
UTI薬効評価可能6例の臨床効果は著効4例, 有効1例, 無効1例で総合臨床効果は83.3%であった。又, 細菌性前立腺炎の主治医判定の有効率は10例中1例の判定不能例を除き有効7例, やや有効2例の77.8%有効率であった。
自他覚的副作用では, 1例に本剤投与後3日目に中程度の悪心, 嘔吐及び下痢が認められ投与を中止した以外には, 問題となるものは認められなかった。

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