The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児におけるAztreonamの基礎的, 臨床的検討
荒井 祥二朗曽野 玲子柴田 丈夫櫻井 實庵原 俊昭神谷 齊稲持 英樹野村 豊樹多喜 紀雄鈴木 正治井上 正和小島 當三
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1990 年 43 巻 3 号 p. 479-486

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抄録

新生児におけるAztreonam (AZT) の基礎的, 臨床的検討を行った。
生後0~7日の新生児, 未熟児12例 (出生体重1,260~3,500g) にAZT20mg/kgを静注又は1時間点滴静注した際の血清中濃度と尿中排泄につき検討した。静注での1時間後の血清中濃度は54.0±12.5μg/ml, 血清中半減期は6.01±0.70時間であった。点滴静注での最高血清中濃度は42.1±17.6μg/ml (点滴静注終了直後) で, 血清中半減期は6.40±1.88時間であった。又, 12時間までの尿中回収率は静注群では28.5±6.4%, 点滴静注群では32.3±13.9%であった。
新生児期の細菌感染症12例 (敗血症2例, 敗血症疑い2例, 肺炎3例, 尿路感染症2例, 感染予防3例) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を行った。感染予防を除いた9例に対する効果は著効1例, 有効5例, やや有効1例, 無効1例, 不明1例で有効率は75%であった。起炎菌のうちグラム陰性菌であるEnterobacter cloacae2株, Pseudomonasaeruginasa1株に対する細菌学的効果は2株が消失, 1株が不変で, 除菌率は66.7%であった。なお, 副作用としては臨床検査値異常として1例にGOT, GPTの上昇を認めたが, 重大なものではなかった。
以上の成績から, 本剤は新生児期においても有効で安全性の高い薬剤であると考えられた。

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